内山安二
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内山安二(うちやまやすじ、1935年 - 2002年9月2日)は日本の漫画家。熊本県水俣市出身。代表作に『コロ助の科学質問箱』など。
学習漫画の第一人者。主に学研の児童向け出版本(○年の科学、ひみつシリーズ等)・雑誌や毎日小学生新聞にて執筆した。
[編集] 作品について
- 1970-80年代の日本においては漫画が低俗な文化という認識がわずかに残っており、漫画雑誌の閲覧を子供に許さない親は少なくなかった。しかし学習漫画は例外的に学校や公共の図書館に置かれることが多く、一部の子供たちにとって、学習漫画の作家は最も身近な漫画家であった。
- その中でも内山の作品はシンプルなタッチで子供には親しみやすい画風であった。エンターテイメント化が進む商業漫画とは明らかに一線を画し、入念な取材に基づいた情報、それでいてよく練られたギャグやストーリーが際立っており、内山の逝去時にはネットの掲示板上で「学習まんがでは一番好きな作家さんでした」、「氏のおかげで理系の道を歩むきっかけとなった」などの惜しむ声が数々挙がったことから、決してマスメディアの表に出ることはなかったものの、学研の科学などで親しみを持っていたファンが多かったことを語るエピソードである。
- ほとんどの作品で帽子をかぶった少年、カールがかかった髪の少女、内山自身がモデルと思しきベレー帽にひげ面の男性「ヒゲ山さん」、博士、ブタ、犬、ネコ、ネズミのキャラクターを登場させている。ブタのキャラクターの「ヤメレ、食っちまうど!」(特にカタカナでヤメレ!と叫ぶのはこの作者が元であろう)や、ネズミのキャラクターの「チューイせよ!」のセリフは今もなお根強い人気があり、元ネタが分からない人でもブログなどで用いられているケースがある。
- 晩年は子ども向けの学習まんがの他に治水、港湾施設など大人を対象とした広報目的の漫画を描いたりもしている。その中には故郷の水俣市の環境を採り上げたものもある。
- 晩年は主な活動の場を毎日新聞社に移している。毎日新聞にてイラストや漫画を掲載していたため、学習漫画の作家でありながら、大人にとっても最も身近な漫画家の一人であった。また、毎日小学生新聞のイメージキャラクターのデザインも担当した。
- 内山の逝去後は子息の内山大助が毎日新聞をはじめとする主な仕事を引き継いでいる。画風も父安二に酷似しており、シンプルで子供にも大人にも親しみやすい画風になっている。
[編集] 主な作品解説
- 『できるできないのひみつ』
- さまざまな科学技術や自然現象の課題に際して可能と主張するやっ太に対して、なにかにつけて不可能だと反論する「ヘンな外人」デキッコナイスが討論を重ねながら結論を導き出す内容となっている。デキッコナイスというネーミングセンスとキャラクターの造形は大変印象深いものであった。(なお、「ヘンな外人」もヘタをするとれっきとした差別用語であり、度重なる改編を経た学習まんがの中においてよく生き残ってきた紹介文といえよう)ちなみに、このまんがによって地球で日本の裏側に位置するのがデキッコナイスの出身地アルゼンチンであるということを知った少年少女も少なくないという。加えて、当作品の後編は不可能に挑戦した偉人たちの伝記となっており、手短に数々の探検家や発明家のエピソードを知ることができる。
- 『世界の国ぐにびっくり旅行』
- 学習まんがの中でもとりわけ人気の高い作品である。少年少女が飛行機や潜水艦に変化するトランクケースで世界を駆け巡り、序盤で行き別れとなってしまった博士たちと、もう少しのところで合流できるのにすれ違ってしまうというストーリーは学習漫画でありながらたいへん際立ったものであった。なおこの作品は欧米・先進諸国はかなり詳しく描かれているものの、後半になるとほとんど駆け足となっているためアフリカや南米の国々は全く紹介されていない。とはいえ、それが皮肉なことにちびくろサンボのように人種差別的表現を指摘されて二度と日の目を見ないといった憂き目に会わずに済んでいる要因とも言える。
- 『コロ助の科学質問箱』
- ひみつシリーズの中でも唯一綴じ方向が異なっており、セリフが横書きの異色の作品である。多くの読者に影響を与えたといわれており、コロ助が疑問を解決すべく、わずかな貯金をはたいて新幹線に乗って大学教授と面会する様や、摩擦のある世界とない世界でディベートを交わす内容は、たしかに学習の楽しさを子供たちに教えるものであった。理系離れが叫ばれる昨今においては貴重な作品であると評する人も多い。現在、学研の科学にて『まんがサイエンス』を手掛けているあさりよしとおはこの内山安二、とりわけこの作品の虜になって、漫画家を目指すようになったと本人が語っている。
[編集] 作品リスト
- 玄海とイドムンコスキー
- コロ助の科学質問箱
- できる・できないのひみつ
- 世界の国ぐにびっくり旅行
- 4年生の算数のひみつ