出淵庄兵衛
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出淵庄兵衛(いでぶち・しょうべい)は、『子連れ狼』の登場人物で架空の人物。柳生烈堂の妾腹の長男。柳生兵庫、蔵人、軍兵衛は異母弟に、出淵鞘香は同腹の妹に当たる。
妾腹の子であることから、柳生一門の別派にあたり、その実力は柳生一門を上回るとも噂される喰代(ほおじろ)柳生の頭領を任され、大和国喰代にて妹・鞘香及び喰代柳生の配下とともに暮らしていたが、父・烈堂が柳生封廻状を拝一刀から奪回するのに失敗して左目を失い、さらに病に倒れたことから、その命により江戸の柳生屋敷に、鞘香及び配下とともに呼び出され、柳生封廻状奪回を命じられる。
しかし、この時に烈堂から、先に一刀に斬られた三人の弟よりも格下に扱われ、さらに鞘香とともに、
「自分(烈堂)の子だとは思ったことはない。」
とか、
「鞘香は柳生一門の総帥を継ぐ子を産ませる為に江戸に呼んだ。」
等と言われ、この発言に憤慨しさらに幼時からの烈堂に対する不満(庄兵衛は、自身が烈堂に冷遇されているのは、自分の容姿が醜いからであると思い込んでいた。)を爆発させながらも、柳生封廻状を奪回すべく、配下とともに一刀・大五郎父子を襲撃するも、一刀に敗れて瀕死の重傷を負う。庄兵衛は、配下に命じて、自身を大急ぎで柳生屋敷に連れ帰らせ、到着するや否や湯殿で入浴していた鞘香を強姦するが、そのまま死んでしまう。庄兵衛曰く、
「三人の弟が死んだ今は、自分こそが柳生本家の総領であり、自分がこうなったからには鞘香に我が子を産ませて総領にする。」
とのことであった。
騒ぎを聞いて駆けつけた烈堂は、庄兵衛の亡骸を見るなり、落涙して、
「不憫な子であるからこそ、喰代の頭領に留めていたのだ。」
と、その真情を吐露するも、後の祭りであった。