分流
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分流(ぶんりゅう、distributary)は、川が海に出る前に、本流から分かれてゆく川のことをさす。一般用語であり、行政用語では派川(はせん)が使用される。
分流は多くの場合、河口で三角州(デルタ)を形成している。また、分流した川が再度本流に合流し、中洲を作ることもある。分流が発生することを河川分岐と呼ぶ。分流の反対は支流(本流に集まってくる川)である。
分流はしばしば、本流沿いの町を洪水から守るため、人工的に造られることもある。こうした分流は放水路と呼ばれている。
分流が本流に変わってしまうような例もある。ミシシッピ川河口では多くの分流がデルタを形成しているが、その中にミシシッピ川が海に向かって東へ流れを変える地点で、まっすぐ南のメキシコ湾方向へ分岐するアチャファラヤ川(Atchafalaya)がある。この川はミシシッピ川から多くの水量を奪い、本流以上に急勾配の流路となってミシシッピ川より大きくなりつつある。これはミシシッピ川の港であるニューオーリンズにとっては、川を流れる水が減って港湾機能の低下につながる大きな問題であるため、アチャファラヤ川への水量を調整するダム(『Old River Control Structure』)が建設され、ミシシッピ川が小さくなることには歯止めがかけられた。
南米にはカシキアレ川(Casiquiare)というオリノコ川上流で分岐する分流があるが、世界最大の「天然運河」として知られている。オリノコ川から分かれたカシキアレ川はアマゾンの熱帯雨林を流れアマゾン川支流のネグロ川に注ぎ込むが、これによってオリノコ川水系とアマゾン川水系が結ばれている。二つの水系を結ぶ河川としては世界最大である。
その他、世界の大きな分流には、ライン川下流の3つの主要な分流、アイセル川(IJssel、旧ゾイデル海、現アイセル湖に流入)、ワール川(Waal、ロッテルダム港とドイツを結ぶ河川交通の要路であり、ライン川の水量の3分の2を海に流す)、ネーダーライン川(下ライン川、Nederrijn、Lower Rhine)がある。またインド南部のカーヴィリ川の分流・コッリダム川(Kollidam)、ガンジス川の分流で大都市コルカタを流れるフグリー川(Hoogli)などは有名である。
[編集] 河川以外の用法
河川の分岐からの類推で、血筋や氏が分かれること、分かれた血筋のことを分流と呼ぶ。また、電流を二つ以上の回線に分けることも分流という(例:分流器)。
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