分福茶釜
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分福茶釜(ぶんぶくちゃがま、ぶんぷくちゃがま)は群馬県館林市に伝わる伝説で、昔話として日本中で語り継がれている。文福茶釜とも表記する。この伝説にはタヌキがあらわれ、化けて人を騙す場面が見られる。
また分福茶釜は、館林市の南方に古くからある茂林寺にある茶釜で、1394年から1428年の間に和尚である守鶴が愛用した。この茶釜には一度水を入れると、一昼夜汲み続けても水がなくならないという伝説が伝えられている。
「分福」という名の由来については諸説ある。この茶釜はいくつもの良い力を持っていたが、中でも福を分ける力が特に強くかったことに由来し、「福を分ける茶釜」という意味から分福茶釜と呼ばれるようになったという説や、水を入れると突然「ぶくぶく」と沸騰することから「ぶんぶく」となったのではいかという説もあるが、どれが本当かははっきりしていない。
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[編集] あらすじ
貧しい男が罠にかかったタヌキを見つけるが、不憫に想い開放してやる。その夜タヌキは男の家に現れると、助けてもらったお礼として、茶釜に化けて自身を売ってお金に換えるように申し出る。次の日、男は坊主に茶釜を売った。坊主は家に持ち帰って茶釜を水で満たし火に懸けたところ、タヌキは熱さに耐え切れずに半分元の姿に戻ってしまった。タヌキはそのままの姿で元の男の家に逃げ帰った。次にタヌキは、綱渡りをする茶釜で見世物小屋を開くことを提案する。この考えは成功して、男は豊かになり、タヌキも寂しい思いをしなくて済むようになった。という、恩返しの話である。
また、一説にはタヌキが守鶴という僧に化けて寺を守り、汲んでも尽きない茶を沸かしたとされている。普通、物怪(もののけ)は鉄を嫌うが、このタヌキはその鉄の茶釜に化けており、金の精霊たる所以を表している。
[編集] 別伝
山形県米沢市南原横堀町の常慶院にも同名の伝説が伝わっているが、こちらでは狸ではなくキツネが登場する。