初等関数
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初等関数(しょとうかんすう)とは、複素数を変数とする多項式関数・指数関数・対数関数主値の四則演算・合成によって表示できる関数である。これによると、三角関数や双曲線関数、そして両者の逆関数主値も、
に代表される表示が可能であるから、初等関数と考えることが出来る。初等関数は、一価関数に限る。
初等関数の導関数は必ず初等関数になるが、初等関数の原始関数、及び初等関数を用いた微分方程式の解は、必ずしも初等関数になるとは限らない。例えば、次の二つの不定積分
は似た形であるにもかかわらず、前者は解けて、Arcsin x + C となるが、後者は、初等関数の範囲では解けない。この積分は、特殊関数である楕円積分を用いて、F(Arcsin x, -1) + C と表示される。
初等関数の逆関数は、必ずしも初等関数になるとは限らない。例えば、5 次以上の多項式 P(x) に対し、方程式 P(x0) = 0 の解は一般には初等関数を用いて表せないことがニールス・アーベルによって証明されている。従って P(x) の逆関数 P-1(x) が初等関数であれば、x0 = P-1(0) と表せてしまうから、P-1(x) は初等関数ではない。最近、一部の数学者たちによって、P-1(x) は楕円関数を用いて表示できることがわかってきている。