前十字靭帯
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前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい、ACL:Anterior Cruciate Ligament)は、膝関節の中にあって大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ強靭な紐で、関節を安定に保つ支持機構をいう。主に、膝関節が過伸展(伸びきってしまう状態)を制限するように作用する靭帯である。靭帯組織については靭帯の項を参照。
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[編集] 膝前十字靭帯損傷
主にスポーツをしている人にこの損傷はよく起こる。特にサッカーやバスケットボール、スキー等の急激な方向転換を伴うスポーツや、ラグビーやアメリカンフットボール、格闘技など、コンタクトの多いスポーツにおいて、自分の意思とは違った方向に関節が強制的に持っていかれたり、地面に着地した際に、体重で大きく曲がってしまったときに起こる。受傷時にはたいてい、体内で「ブチッ」と音がし、そのときには多少の困難さは有るが、歩行は可能なことが多い。受傷後の翌日には、膝に多くの血液が溜まっていることが多く、こうなると歩行は困難となる。
また、膝前十字靭帯は単独での損傷は少なく、たいていは他の器官(半月板、内側側副靭帯など)の損傷を伴うことが多い。
なお、膝前十字靭帯は血液の流れが非常に悪い部分なので自然治癒することはないが、損傷・断裂した場合でも、膝周りの筋肉を鍛えることで日常生活やレクリエーション程度のスポーツであれば問題なくこなすことができる(保存療法)。しかし、競技レベルでのスポーツに復帰するためには、手術によって再建するしか治す方法はない。
[編集] 損傷の有無
専門家に診てもらうことが、最もふさわしい。素人には判別が大変困難である。
膝前十字靭帯の場合は損傷の有無をチェックすることが、レントゲン、CT、MRIなどで判断することが難しいため、上腿、下腿とを持ち、動かして、そのゆれ・ずれ具合を見て判断する方が確実に判断するための材料となる。
[編集] 一般的な手術法
前述の通り、前十字靭帯は再生することがないため他の器官である膝蓋腱、半腱様筋腱を切除して靭帯の代わりとする再建手術が行われる。また、人工靭帯を用いることもある。最新の術式は二重束再建術が主である。これには多くの経験と高度な技術を必要とするため、未だに採用していない病院も多い。
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