増幅
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増幅(ぞうふく)とは、何らかの信号の入力に対して元の信号よりも大きな出力信号を得るような作用のことである。
増幅対象の物理現象としては、電気信号(電圧・電流およびこれらの積としての電力)、光、空気圧・油圧など流体の圧力、機械的な振動や変位、音響・音波などがある。
増幅にはもとの物理現象を直接拡大する方法と、各々の物理現象を別な物理現象に置き換えて増幅し、それをもとの物理現象に戻すことで増幅を行う場合もある。前者はたとえば電気信号の増幅器(増幅回路)による増幅、ラマン増幅器による光増幅、後者は、マイクロフォン/スピーカーと増幅回路を用いた音響増幅や、光-電気/電気-光の変換素子を用いた光増幅などがそうである。
増幅作用を持つ機能単位、すなわち増幅器や増幅回路などにおいては、入力の物理現象のもつエネルギーそのものを拡大するのではなく、増幅器に外部から供給したエネルギーを、入力に応じて制御することにより、拡大された出力として外部に取り出している。例えば電気信号の増幅回路は、トランジスタなどの素子に電源回路からエネルギー(電圧×電流)を供給し、入力信号で素子に流れる電流変化を制御している。 増幅器に与えた全エネルギーの全てを出力として外部に取り出せるわけではない。有効に取り出せる割合を「増幅器の効率」と呼ぶ。