天狗攫い
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天狗攫い(てんぐさらい)は、神隠しの内、天狗が原因で子供が行方不明となる事象をいう。
[編集] 概要
江戸時代において、子供が消息を絶つ原因は天狗とされていた。天狗が子供をさらい、数ヶ月から数年の後に元の家へ帰しておくのである。
天狗攫いから戻って来た子供は、天狗と一緒に空を飛んで日本各地の名所を見物させてもらった、などと話す。到底信じがたいことではあるが、当時としては実際にその場所へ行かなければわからないようなことをその子供が喋ったりするので、その子の言い分を信じるよりほかないということになる。また、天狗から様々な知識や術を教わったとする子供もいたという。
天狗攫いでよく知られているのは、天狗小僧の異名をとる文政年間の江戸の少年・寅吉である。彼は7歳のとき天狗攫いに遭い、数年後の文政3年(1820年)に江戸に戻って来て人々を驚かせ、自身の異界での体験談をもって国学者・平田篤胤の著書『仙境異聞』の執筆に協力した。詳細は平田篤胤の項を参照。