容積率
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容積率(ようせきりつ)とは、敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合である。(建築基準法第52条の各項目を参照)
- 例えば、100坪の土地に1階30坪、2階20坪(合計50坪)の建物が建っている場合は、容積率は5/10(50%)になる。
- 都市計画で用途地域と合わせて容積率を定めている場合は、原則として、これを上回る容積率の建物を建ててはならない。次のような場合は例外:
- 接道する前面道路の幅員が12m未満の場合、都市計画で定められた容積率以下に制限を受ける場合がある。住居系の用途地域の場合は「道路幅×4/10」、その他(商業系・工業系)の用途地域では「道路幅×6/10」の数値と、都市計画で定める容積率の数値を比較して、低い方が適用される(原則)。道路幅員の狭い、基盤整備の十分でない地域に高容積の建築物ができるのを抑えるための規定である。
- 例:第1種中高層住居専用地域で、都市計画で指定された容積率が30/10(300%)、前面道路幅員が6mとする。→ 6m×4/10=24/10(240%)< 30/10(300%)
- 建築基準法の改正(2002年)後、自治体により異なった数値を用いる場合があるので、確認のこと。
[編集] 特例容積率適用区域制度
特例容積率適用区域制度とは、都市計画区域内の一部の許容容積率を放棄し、放棄した分の容積率を区域内の別の場所に加算することができる制度である。一体地特例や空中権取引とも呼ばれる、都市計画法と建築基準法の改正により実現した。
これ以前にも、隣接する建物間では容積率の融通をすることができ、地方都市への超高層ビル建設などでは、周囲に建設する建物の高さを低く抑える代わりに超高層ビルを建設するなどで利用されてきたが、特例容積率適用区域制度では、隣接していない建物にも適用できるのが特徴である。ただし適用により地区内の容積率にアンバランスが生じるため、それによる問題が生じないように地区全体の道路率や公共交通機関の整備率が極めて高い地区に限定される。
この制度の利用の最初の例は、三菱地所やJR東日本、東京三菱銀行を主体に行われた東京駅周辺再開発で、東京駅上空の余っている容積率を売却して得た資金をもとに、戦災で被害をうけた赤レンガ駅舎を建設当初の姿に復元する計画である。2005年に、東京駅丸の内駅舎から容積率の移転を受けた東京ビルディングが完成した。なお日本では空中権が法律上規定されていないが、実際には容積減となる敷地に、容積増となる敷地の所有者が地役権を設定することにより、その対価として相当金額を支払うかたちをとっている。