寝殿造
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寝殿造(しんでんづくり)は、平安時代の貴族住宅の様式である。
寝殿(正殿)と呼ばれる中心的な建物が南の庭に面して建てられ、東西に対屋(たいのや)と呼ばれる付属的な建物を配し、それらを渡殿(わたりどの)でつなぎ、更に東西の対屋から渡殿を南に出してその先に釣殿を設けた。 寝殿は檜皮葺(ひわだぶき)の屋根で木造の高床式家屋である。開放的な造りで、室外とは蔀戸(しとみど)などで仕切る。前方には池・築山などをもつ庭園が造られた。
平安時代当時の遺構は残っていないが、絵巻物や貴族の日記に記された記録などから、当時の様子がうかがい知られる。「源氏物語絵巻」などに描かれるものが典型的な形で、貴族の優美な生活にふさわしいものとなっていった。 現在の京都御所は、江戸時代の建物であるが、有職故実に従い、平安時代の古式を用いて建てられている。また、京都の大覚寺(嵯峨御所)、仁和寺(室生御所)は室町時代の御所の建物を移築したもので、寝殿造風の面影が感じられる。
なお、鎌倉時代の武家住宅の様式を「武家造」と呼ぶことがあるが、寝殿造を簡略化したもので独自の様式ではないとするのが建築史の通説。