山南地区
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山南地区(さんなん-ちく)は、中華人民共和国の省級の民族区域自治単位である西蔵自治区を構成する七つの地区(サクル)のひとつ。公用語の正式呼称はチベット語名ロカ・サクル (lho kha sa kul) 、中国語名シャンナンティチュ(山南地区 shān nán dì qū)。「山南」はチベット名の「ロカ」を意訳した名称。日本語では、チベット名に由来するロカ地区、ホカ地区、中国名に由来する山南地区(さんなん-ちく)などの呼称が用いられている。
自治区の中央部に位置し、チベットの伝統的な地理区分では、この地区の北部に隣接するラサ市を構成する諸ゾン(県)とともにウー地方を構成し、その住人を「ウーパ (dbus pa) 」と称する。
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[編集] 地理
面積8万平方キロ、人口は約29万人。青蔵高原東南部、ヤルンツァンポ河中下流に位置し、西はシガツェ地区、北はラサ市、東北はニャンティ地区と接し、南はインド、ブータンと国境を接する。本地区のツォナ・ゾン(錯那県)、ルンツェ・ゾン(隆子県)の南部は、ニャンティ地区のメトク・ゾン(墨脱県)、ザユル・ゾン(察隅圏)とともにインドとの国境紛争地域となっており、名目上これらの諸ゾンの南部とされる領域で、インドが実効支配するマクマホン・ライン以南の部分に対し、インド政府はアルナーチャル・プラデーシュ州を設けている。
海抜3,700メートル、気候は温和。
[編集] 歴史
吐蕃王家がチベット統一に着手しはじめた六世紀後半から七世紀にかけて本拠地をおいた地域で、その拠点ユムブラカン宮殿が史跡としてある(現存の建物は文化大革命による破壊後に再建された複製)。
[編集] 行政区画
- ナンカルツェ・ゾン(sna dkar rtse rdzong, 浪卡子県)
- コンカル・ゾン(gong dkar rdzong, 貢嘎県)
- ダナン・ゾン(gra nang rdzong, 扎嚢県)
- ネドン・ゾン(sne gdong rdzong, 乃東県)
- チョンギェ・ゾン('phyongs rgyas rdzong,瓊結県)
- ツォメ・ゾン(mtso smad rdzong, 措美県)
- ロダク・ゾン(lho brag rdzong, 洛扎県)
- サンリ・ゾン(zangs ri rdzong, 桑日県)
- チュスム・ゾン(chu gsum rdzong, 曲松県)
- ルンツェ・ゾン(lhung rtse rdzong, 隆子県)
- ツォナ・ゾン(mtsho sna rdzong, 錯那県)
- ギャツァ・ゾン(rgya tsha rdzong, 加査県)
[編集] 関連項目
西蔵自治区を構成する1市6地区
- ラサ市(lha sa grong khyer, 拉薩市)
- ロカ地区(lho kha sa khul. 山南地区)
- シガツェ地区(gzhis ka rtse sa khul, 日喀則地区)
- ナクチュ地区(nag chu sa khul, 那曲地区)
- ガリ地区(mnga' ris sa khul, 阿里地区)
- ニャンティ地区(nyang khri sa khul, 林芝地区)
- チャムド地区(chab mdo sa khul, 昌都地区)
チベットの伝統的な地方区分
チベットにおける中国の行政区画