座屈
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座屈(ざくつ、Buckling)とは、柱(梁とは違い、軸方向に垂直荷重を受ける棒を指す)に圧縮応力を加えると、曲げモーメントにより柱のたわみが急激に大きくなり、荷重分担能力を失ってしまう現象を言う。 但し、柱の長さが短い場合は単に縮むだけであり、長い柱の場合にのみ発生する現象である。
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[編集] 座屈応力
座屈が起こる時の応力は棒の末端部分の形状、曲げ剛性、細長比などによって異なる。
[編集] 端末条件係数
座屈応力を求める際に、端末条件係数と呼ばれる値が関係してくる。棒の末端部分の形状により係数は次のような値になる。
端末条件 | 端末条件係数C |
---|---|
自由端-固定端 | 0.25 |
ヒンジ-ヒンジ | 1 |
ヒンジ-固定端 | 2.046 |
固定端-固定端 | 4 |
[編集] オイラーの式
座屈応力を求めるには、通常はオイラーの式が使われる。オイラーの式は次のように表される。
ここで
- σcr: 座屈応力
- C: 端末条件係数
- E: ヤング率
- λ: 細長比
である。
[編集] ランキンの式
柱が短くなると、弾性座屈が起こる前に塑性変形が生じてしまうため、オイラーの式で座屈応力を求めることができなくなる。そこでランキンの式を使い座屈応力を求める。ランキンの式かオイラーの式のどちらを使用するかは細長比の値(これは材料によって異なる)によって決まる。ランキンの式は次のように表される。
ここで
- σc: 材料の許容引張応力[MPa]
- a: 柱の材料による実験定数
である。
細長比が一定の値以下の場合、ランキンの式以外にもテトマイヤの式、ジョンソンの式などがある。
[編集] 参考文献
- 「材料力学入門」パワー社 1989年