懐剣
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懐剣(かいけん・ふところがたな)とは、護身用の短刀。多く合口拵が用いられた。 室内など日本刀の使用が制限される場所で奇襲を受けた際の護身武器であるほか、女性の婚礼衣装の付属品としての用法もある。 護り刀ともいう。
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[編集] 男性と懐剣
目立つ打刀や脇差に隠れがちだが、男性にとっても懐剣は重要な護身武器であった。 懐剣は「武士の魂」といわれる日本刀と同等の価値を認められ、大名家などには先祖伝来の名品も多い。
[編集] 女性と懐剣
武士階級の女性は外出時などは常に懐剣を身に着け、護身武器とした。 高級武士の娘が使う懐剣は、黒漆塗りの柄と鞘に金泥などで実家の家紋を描いた美しいもので緊急時には護身に使うと同時に、自害する道具にもなった。 江戸では錦の袋などに入れて持ち歩くが、上方では袋に入れずむき出しのまま持ち歩いたという。 武門の生まれの象徴として男性の打刀に正対する存在である。 幕末期などには実際に、暴漢などが家に上がりこんできた際に懐剣を突きつけて撃退した女傑の逸話もある。
[編集] 婚礼衣装と懐剣
現在では扇を代用品にすることがほとんどだが、1900年に登場した神前結婚式の婚礼には女性は懐剣を持った。 これは「貞操を汚されそうになったら自害して夫の足手まといになるな。」と言う意味がこめられていると言う。