放電容量
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放電容量(ほうでんようりょう)は、電池の容量である。
電池は、その使い始めにこそ定格電圧を起電力として出力しているが、放電を行うにつれて電圧は徐々に降下していく。 やがてある電圧を境にその低下の度合いが急激なものとなり、電池を電源として動作していた機器は停止に至る。 このときの電圧を終止電圧(しゅうしでんあつ)といい、これに達した時点で電池は使い切られたものとみなされる。
電池の容量は、使い始めから使い終えるまでに電池から取り出し、放電した電気量である。 具体的には、放電時の電流(消費電流) I と終止電圧に達するまでの時間 t の積である。 量記号は W、単位としてアンペア時(アンペアじ、アンペアアワー) [Ah] が用いられる。
- W = I・t
小型の電池では、ミリアンペア時(ミリアンペアじ、ミリアンペアアワー) [mAh] も用いられる。
例えば 540 [mAh] とは、540 [mA] の電流を 1 [時間] 、流すことができることを表している。
また、放電容量 W を消費電流 I で除したものが、その電池の使用可能時間 t であるといえる。
- t = W / I
例えば、放電容量が850 [mAh] 、消費電流が [325mA] だとすると、
- 850 / 325 = 2.6 [h] = 156 [min]
[編集] 10時間放電率の容量
電池の容量は放電時の電流の大きさによって変動するものである。 したがって、10時間の放電で終止電圧に達するよう設定した、ある一定の大きさの電流を放電した場合から求められた容量を標準として用いる。 これが、10時間放電率の容量(じゅうじかんほうでんりつのようりょう)である。 一般的に規定よりも大きな電流を取り出そうとすると取り出す事ができる容量が減少する。 例えば 10Ah(10時間放電率)の電池から10Aの電流を取り出した場合は数字の上では1時間持続することになるが実際には数分の1になる場合もあるので電池の放電特性(電池の製造元から公表される場合がある)を考慮する必要がある。