旋陀羅
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旋陀羅(せんだら)とは、日本の中世の一時期、被差別民にたいする呼称として使われていた語である。
[編集] 語源
インドの被差別民チャンダーラが漢音訳されたものである。ヒンドゥー教の要素を大幅に取り込んだ密教によって差別を正当化する思想が仏教に導入され、平安時代初期に空海らによって密教が系統的に導入されたときに、日本に持ち込まれたと考えられている。
[編集] 日蓮
日蓮宗の開祖日蓮は、安房の国の旋陀羅出身だと自称していたと伝えられるが、その真偽については現在も論争が続いている。一説には殺生に携わる漁民とかかわりの深い出自であるが故に、あえて死穢を差別の正当化と直結させがちな密教思想批判のためにあえて旋陀羅出自を称したとも考えられている。日蓮宗は、仏教の主要宗派の中で唯一、差別戒名を使用した例がない。