日産・R90CP
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日産・R90CPは、1990年全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)およびル・マン24時間レース用に日産自動車が製作したグループCカー。
前年型の日産・R89Cのモノコックを流用し、ニッサン・パーフォマンス・テクノロジー(NPTI)の鈴鹿実隆によりデザインされ、日産社内で製作されたカウルを纏う。エンジンは前年のVRH35の進化版、3.5リッターV型8気筒ツインターボのVRH35Zを搭載。予選用の高過給設定では1200馬力に達したという。
このシーズンは英国で製作されたマシンをR90CK、日本で製作されたマシンをR90CPと名づけた。R90CPの「P」は製作された追浜(おっぱま)の「ぱ」のPである。4月のWSPC鈴鹿で2台のザウバーメルセデスに次ぐ3位表彰台を獲得。ル・マンでは直線で最速の366km/hを記録。これはシケイン設置後のレコードで16年経った今でも破られてない。決勝レースでは長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男のドライビングで5位入賞。その当時の日本車・日本人の過去最高位をマークした。ル・マン後のJSPCでは3連勝を果たし、ドライバーズ(長谷見)・メイクスのダブルタイトルを獲得。国産マシン初のJSPC王者となった。
翌1991年にはデイトナ24時間レースに参加が決まっていたが、湾岸戦争の影響で直前にキャンセルされた。このマシンの成果が、完全自社製Cカーである日産・R91CP誕生に生かされることになる。