月と貴女に花束を
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『月と貴女に花束を』は、志村一矢/著、椎名優/イラストのライトノベル。電撃文庫刊。続編として『麒麟は一途に恋をする』が刊行されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 登場人物
[編集] 本編の登場人物
- 月森冬馬(つきもり とうま)
- 主人公。20歳の獣医を目指す大学生。痩せた体に、伸びた髪を後ろでまとめている容姿をした青年。困っている人がいたら方ってはおけないような優しい性格で、そんな彼に惹かれる人間は多い。『院』の名家・月森の末子で、人狼族最強の力を持つ『黄金狼』ラグナウルフの血を継ぐ唯二の存在であるが、獣人としての変身能力には目覚めていない。当初、父・相馬に送られた押し掛け妻の深雪に戸惑っていたが、やがて純粋に彼女に好意を持ち、共に生きていくことを決意する。12年前、御堂巽の陰謀で力を暴走させ、実の母・詩織をその手で殺めてしまった過去を持つ。変身はできないが、その血に眠るラグナウルフの力を引き出して、ある程度戦うことはできる。二度目の御堂巽との邂逅の際、幻術で心を破壊されるが、深雪の「死の奇跡」によって復活、同時にラグナウルフへの変身能力に目覚める。しかし、「死の奇跡」で命を落とした深雪を蘇生する際、その代償に変身能力を失ってしまう。その後、綾瀬由希彦から譲り受けた「久遠の月」を使用して変身能力を取り戻すが、副作用で変身するたびに魂に傷を負ってしまう身体となってしまう。そのようなボロボロの身体で香沙薙桂、陣内甲牙、御堂縁、燐、桜と戦っていくたびに自分に眠るもうひとつの力「古き月の力」に目覚めていく。
- 柚本深雪(ゆずもと みゆき)
- ヒロイン。22歳。ホワイトウルフの女性。童顔、小柄の美少女に見えるが、普通に成人。冬馬の父・相馬に、ラグナウルフの血を後世に残す為に冬馬の嫁として月森家にやってくる。しかし、彼女自身はそのような理由だけではなく、冬馬自身に好意があってこそ、その話を受け入れた。獣聖候補にも挙がった静馬や静華曰く、「自分たちなど足元にも及ばないほどの戦士の資質がある」らしく、実際、ホワイトウルフの奥義「死の奇跡」を生まれながらに使用でき、治癒力を破壊力に変換する「天使の鉄槌」を数ヶ月の基礎特訓と十日の自主トレで習得し、並の獣人では一羽すら召喚できない「朱雀扇」の「神鳥」を「天使の鉄槌」を付加して一度に三羽召喚するなどの離れ技をやってのける。
- 月森静馬(つきもり しずま)
- 冬馬の兄。獣聖候補でもあった手練の銀狼。
- 月森相馬(つきもり そうま)
- 冬馬、静馬、静華の父。冬馬と同じ、ラグナウルフだが、変身能力はすでに失われている。
- 柚本真矢(ゆずもと まや)
- 深雪の弟。いわゆるシスコンであり、深雪の婚約者である冬馬を嫌っていた。ホワイトウルフ。
- 都築静華(つづき しずか)旧姓:月森
- 冬馬、静馬の姉。相馬と同じく、獣聖候補に選ばれたこともあるレッドウルフ。
- 都築夏彦(つづき なつひこ)
- 静華の夫。静華とは幼なじみだったらしい。
- 都築由花(つづき ゆか)
- 旧姓・綾瀬。今だ力に目覚めてはいないが、獣聖だった両親の間に生まれた人狼族のサラブレッド。
- 南原鷹秋(なんばら たかあき)
- 高校生だが、強い力を持ったグレイウルフの少年。
- 南原睦美(なんばら むつみ)
- 鷹秋の妹。
- 橘晴海(たちばな はるみ)
- 獣聖のひとりで妖術士。しかし、攻撃はまったくできない。
- 綾瀬由希彦(あやせ ゆきひこ)
- 獣聖のひとり。男性のホワイトウルフながら、術を操るのに長ける。
- 綾瀬里花(あやせ りか)
- 由花の母親で獣聖。しかし、里花を生むのと同時に死亡する。
- 永島里穂(ながしま りほ)
- 里花の妹。由花の叔母で、育ての親でもある。
- 御堂巽(みどう たつみ)
- 香沙薙桂(かざなぎ けい)
- 悪魔族の青年だが、紫の目を持っている。「久遠の月」と対になる指輪「涅槃の月」を持つ。
- 燐(りん)
- 強い力を持った悪魔族。
- 陣内甲牙(じんない こうが)
- 鬼族。「永遠の強さ」を求めて冬馬を襲う。
- 御堂縁(みどう ゆかり)
- 響忍(ひびき しのぶ)
- 静馬の同期で、『長』の側近の獣聖。シャドウウルフ。
- 桜(さくら)
- 『院』の『長』。龍人。
- 蘭(らん)
[編集] remainsの主な登場人物
- 都築由花(つづき ゆか)
- 本編の由花の成長した姿。戦士として天才的な力を持つ銀狼。しかし、少女らしい精神的な弱さが目立つ。
- 功刀直純(くぬぎ なおずみ)
- 『院』本山から静華に弟子入りに来たレッドウルフの少年。才能より努力を信じている。
- 佐和山安曇(さわやま あずみ)
- 幼いながら獣聖入りを果たしたアクアウルフ。戦士としての潜在能力は由花を超える。
- 南原鷹秋(なんばら たかあき)
- 香沙薙燐(かざなぎ りん)
- 都築静華(つづき しずか)
- 南原睦美(なんばら むつみ)
- 柚本真矢(ゆずもと まや)
- 橘晴海(たちばな はるみ)
- 五堂恭市(ごどう きょういち)
- 本編には名前だけだったがremainsで正式に登場。『長』に就任する。鷹秋、真矢、静馬、静華、直純、安曇の師。
- 御堂縁(みどう ゆかり)
- 都築冬馬(つづき とうま)・柚本深雪(ゆずもとみゆき)
- 月森静馬(つきもり しずま)
[編集] 設定用語
- 獣人
- 姿を獣へと変えることのできる種族。鳥人族や人狼族など、様々な種がある。男性の場合は一部を、女性の場合は全身を変身できる場合が多い。その全てが獣気を持つ。『院』によって管理されている。
- 獣気
- 獣人ならば、例外なく持つ力のこと。獣気を操ることで身体を強化したり、その種が持つ力を使用できる。
- 人狼族
- 獣人族の一種。月の明かりのもと、狼へと姿を変えることができる。多種多様な種があり、それぞれ体毛の色や操ることのできる力が違う。他の獣人族と同じよう、男性は上半身のみ、女性は全身が狼に変身する。女性は特に術を使う素養が高く、変身しなくても充分に術を使うことができる。ただし、変身時にかかる負担が男性より大きい。変身能力はほとんどの場合10代の間に目覚める。どんな種になるかは変身能力に目覚めるまでわからず、血統に依存する。
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- ラグナウルフ(黄金狼)
- 光を操る力を持ち、人狼族中最強の力を持つと言われている。体毛は金色。その力は実力者の静馬や静華が「敵わない」と断言するほど。現代ではその血はほとんど失われ、月森冬馬、月森相馬以外にこの種はいない。受けた術を二倍にして返す「鏡反照」という技がある。
- ホワイトウルフ(白狼)
- 作中に多く登場する。体毛は白。冷気を操ることができる種。しかし女性のみ癒しの力を持ち、その場合、冷気に優れた者と癒しに優れた者に分かれる。治癒術に関しては、自らの命と引き換えに対象を蘇生する「死の奇跡」、治癒力を破壊力に変換して放つ「天使の鉄槌」という技がある。柚本深雪、柚本真矢、綾瀬由希彦、月森詩織、南原睦美がこの種にあたる。
- グレイウルフ(灰色狼)
- 人狼族の中で最も数が多い種。体毛は灰色。他の種のように何かを操る特別な力は持っていない。南原鷹秋がこの種にあたる。
- 銀狼
- 雷を操る力を持つ人狼族。体毛は銀色。作中に登場する人狼族の中で唯一『~ウルフ』とつかない。月森静馬、都築由花、長嶋里穂、そして恐らく綾瀬里花がこの種にあたる。
- レッドウルフ(赤狼)
- 炎を操る力を持つ人狼族。体毛は赤。都築静華、功刀直純、功刀直雪がこの種にあたる。
- シャドウウルフ(影狼)
- 影を操り、影獣を作り出したりする力を持つ人狼族。響忍がこの種にあたる。
- アクアウルフ(水狼)
- 水を操る力を持つ人狼族。戦闘時、操るための水を周囲から集めなけらばならない。佐和山安曇、緒形蓮司がこの種にあたる。
- エメラルドウルフ(翠狼)
- 風を操る力を持つ人狼族。
- パープルウルフ
- 重力を操り、引力や斥力を生み出す力を持つ人狼族。
- 妖術士
- 魔力
- 『院』
- 龍人
- 鬼族
- 悪魔族
- 久遠の月・涅槃の月
- 「最後の月」から作られた指輪。嵌めるとその者の生命力を活性化させる力を持つ。それにより、病に蝕まれていた綾瀬由希彦は獣聖としての力を発揮できた。しかし、本来の力はその者が持つ獣気や魔力を限界まで引き出すことで、それと同時に生命に一生癒えない傷を負う副作用がある。二つは対にあたるものだが、久遠の月の方が若干効果が高い。
- 魔剣・絶
- 蘭が造った桜を倒すための五つの武具のうちのひとつ。獣気や魔力などの力の影響を全く受けない刀。そのため、強い力を持った結界や、獣気や魔力で強化した物などの防御力を無視して攻撃を加えることが出来る。最初、桂が持っていたがその後、燐の手に渡る。五つの武具の中では唯一、物語の最後まで破壊されなかった。続編「麒麟は一途に恋をする」でも登場。
- 狼魂の槍
- 蘭が造った桜を倒すための五つの武具のうちのひとつ。槍とは言うが、薙刀のような姿をしている。浄化能力が備わっており、妖魔化した由花を助けるために冬馬が使用した。しかし、自らの力に耐え切れなくなって自壊する。
- 朱雀扇
- 蘭が造った桜を倒すための五つの武具のうちのひとつ。赤い羽根の形をしており、力を極めた鬼族にしか召喚できない火の鳥「神鳥」を召喚することができる。初めは桜が所持していたが、そのあとに冬馬、静華、深雪と最も数奇な運命を辿った五つの武具。
- 迦陵頻伽
- 蘭が造った桜を倒すための五つの武具のうちのひとつ。伸縮自在の武器なだけではなく、さらに不可視の結界を展開する能力と破壊されても力を増して何度でも蘇る力を持った羽衣。燐が扱い、冬馬や桂を何度も苦しめてきたが、最終的には桜に一瞬で灰にされる。
- 龍魂の剣
- 蘭が造った桜を倒すための五つの武具のうちのひとつで、その中で最も強い力を持ち、桜に危険視された最強の武具。所持者の傷を癒し、体力、獣気、魔力などの力を回復し、さらに何倍にも膨らませることができる。桜には絶対に扱えないように幾重にも術を施されている。静馬が妖魔化した響忍との決戦に用い、その後は少しの間だけ燐の手に渡る。
- 蘭の封界
- 最期の月
- 古き月の力
- 『種』
[編集] 既刊一覧
- 本編
- 月と貴女に花束を ISBN 4840212147
- 月と貴女に花束を (2) 妖龍の少女 ISBN 4840213607
- 月と貴女に花束を (3) 鬼神猛襲 ISBN 4840215332
- 月と貴女に花束を (4) 聖夜騒乱 ISBN 4840216827
- 月と貴女に花束を (5) 聖夜狂瀾 ISBN 4840219923
- 月と貴女に花束を (6) 聖夜終焉 ISBN 4840220573
- 短編集、後日談
- 月と貴女に花束をremains I ISBN 4840222525
- 月と貴女に花束をremains II ISBN 4840223181