有職読み
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有職読み(ゆうそくよみ)は、有職の道や歌道などの世界で、敬うべき古人の実名(諱)を音読みにして敬意をあらわすこと。東アジア共通の風俗として、人の実名を直接口にすることを忌む風俗(忌諱)が見られるが、これがいっそう鄭重な慣習となって、特に敬意を表すべき古人に対して、その名を本来の読みかたである訓読みからはなれて、音読みでとなえることが行われた。
江戸期までは有職読みの対象となる人物はかぎられていたが、明治期に諱を戸籍名とすることが多くなったため近代の人物などでもその名を気軽に音読みであらわして敬意を表する習慣が生じた。また有職読みそのものではないが、王朝史の研究などにおいて、正確な読みかたのわからない女性名を音読みにすることがある。これは式子内親王(有職読みでショクシ)などの例を援用したものと思われる。