松浦董子

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松浦董子（まつらしげこ、1907年（明治40年） - 1989年（平成元年）1月28日）は日本の旧華族。帝国陸軍中佐にして大正天皇侍従松浦靖子爵と久我侯爵次女節子の次女。戦後凋落しながらも自尊心を守り続け、その死はマスコミに大きく取りあげられた。

1928年（昭和3年）、久邇宮邦彦王の次男で帝国陸軍中尉であった久邇邦久侯爵と結婚する。久邇侯爵は香淳皇后の兄であったため、董子は香淳皇后の義姉であったことになる。宮益坂の1万坪の豪邸に住まい、使用人に囲まれた生活を送る。

1935年（昭和10年）、久邇侯爵が脳溢血で急逝する。翌年、董子は久邇侯爵家を離籍し両親との暮らしを再開する。離籍にあたっては、現在価値に換算すると数億円という南満州鉄道の株券を持参金代わりに与えられたが、敗戦で株券は紙くずと化す。戦後はゴルフ場の受付をしながら、父亡き後、母の世話をする。

1956年（昭和31年）、岩手県選出の代議士と再婚する。夫の浮気に悩まされる日々であった。1958年（昭和33年）、結核で入院した折に創価学会の熱心な信者から勧誘を受け、創価学会に入信する。1966年（昭和41年）、夫と離婚すると、董子は家政婦として働き始めたが、65歳を期に退職し生活保護を受ける身となる。1976年（昭和51年）、母が死去すると、実家と疎遠になり、孤独の身となった董子は、ますます信仰にのめりこむようになった。

晩年は竹ノ塚の家賃3万円のアパートで暮らす。「たくさんの方に親切にしていただいて幸せ」が口癖であった。昭和天皇崩御の報を聞き皇居で記帳した3週間後、虚血性心不全で死去する。葬儀の参列者は20余名であったが、その中には数名の旧華族の姿があった。