松脂
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松脂(まつやに、しょうし)はマツ属の木から分泌される天然の樹脂のこと。
工業的には、夏の成長期に、幹にV字型の傷をつけ、しみ出したものを缶や袋に集めて採る。採ったすぐ後は透明で粘稠な液体だが、だんだん揮発成分がなくなり、粘性を増す。そして白色固状物質を析出する。
特有の芳香があり、主成分はテレビン油、ロジンである。クロロホルム、酢酸、エーテル、アルコールなどに溶ける。水溶性の成分は少ないので、蒸留工場では、貯蔵槽に入れた松脂の表面に水を張り、揮発成分の気化を防ぐことが行われている。
中国やインドネシアが主な生産国で、日本は、中国からロジンやテレピン油の形で輸入しているものが多い。アメリカ合衆国はロジンの生産国であるが、製紙工場から出る廃液やチップからの溶剤抽出によって製造しており、松脂の形ではほとんど生産されていない。
[編集] 応用例
- シャボン玉原液の材料
- 粘りがあるため、割れるまでに時間のかかるシャボン玉が出来る。
- バイオリンなどの弦楽器に使用される弓の塗布剤
- 弦楽器の弓はその殆どが馬の尻尾の毛でできている物が多く、ただそれだけでは弦との間に摩擦係数が極めて少なく殆ど小さな音しか出せない。固形化した松脂またはロジンを塗布することで摩擦係数が大きくなり音が出やすくなる。