棘皮動物
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![]() ウニの一種 |
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棘皮動物(きょくひどうぶつ)とは、棘皮動物門 (Echinodermata) に属する生物の総称である。ウニ、ヒトデ、クモヒトデ、ナマコなどが棘皮動物に属する。
棘皮動物という名称は、 echinoderm というギリシャ語由来のラテン語を直訳したもので、 echinoderm とは echinos (ハリネズミ)のような derma (皮)を持つものという意味である。その名が示す通り、元来ウニを対象としてつけられた名称であるが、ヒトデ、ナマコなど、ウニと類縁関係にある、トゲをもたない動物も、棘皮動物に含まれる。
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[編集] 特徴
- 幼生期は左右相称だが、変態を経て多くの棘皮動物が5放射相称の成体となる。
- 体表に管足と呼ばれる細管をもつ。管足は水管系と呼ばれる棘皮動物特有の器官系に属し、管内は海水に近い成分の体液で満たされている。管足は移動、摂食に用いるほか、呼吸器や感覚器官の役割も果たしている。
- 神経系はあまり発達しておらず、中枢神経をもたない。
- 炭酸カルシウムを主成分とした多数の細かな骨板や骨片からなる骨格をもつ。
- 多くの棘皮動物は再生能力をもつ。
- 潮間帯から深海まで、熱帯から極地に至るあらゆる海底に生息する。
[編集] 分類
棘皮動物は、ウミユリ類、ヒトデ類、シャリンヒトデ類、クモヒトデ類、ウニ類、ナマコ類の6つのグループに分けられる。現生する棘皮動物はこれら6綱のみだが、その他多くの絶滅した綱が知られている。化石は古生代以降に発見され、その量は動物化石としては多い方に属する。ウミユリやウニを主成分とする石灰岩もあるほどである。
棘皮動物に含まれる各群について様々な分子系統学的研究がなされているが、ウミユリ類が最も早く分岐したという点以外には、各グループ間の類縁関係について一致した結果は得られていない。これは、棘皮動物の進化の過程で、多くの収斂や逆転が起こったためと考えられる。
棘皮動物とその他の動物群の関係では、新口動物であること、発生等の証拠から祖先が左右対称動物であることなどが推察されるが、はっきりしたことはわかっていない。
[編集] ヒトデ綱(海星綱)Asteroidea
ヒトデ類は、体の下側にある口を中心にして、5本またはそれ以上の放射相称の脚をもつ、星型をした棘皮動物である。たいていは、5の倍数からなる放射相称の脚をもつ。
[編集] シャリンヒトデ綱 Concentricycloidea
シャリンヒトデ類は、1986年に発見された棘皮動物のグループである。直径1cm弱の円盤状をした体の周囲に縁棘と呼ばれる細かい脚が多数、同心円状に並んでいる。ヒトデ綱ニチリンヒトデ目の1科として分類される場合もある。
[編集] ウミユリ綱 Crinoidea
(ウミシダを含む) ウミユリ類は、形状が植物のユリに似ていることから名付けられた。茎をもち、体の上側に口と肛門をもつ。腕と呼ばれる花びらにあたる部分を広げ、海中を浮遊する食物を捕らえる。多くの種が固着生活をしているが、腕を用いて茎を引きずりながら移動することが可能である。また、ウミシダ類(ウミシダ目)は成体になると茎を切り離し、遊泳生活を送るようになる。
[編集] ウニ綱 Echinoidea
ウニ類は、球状の殻をもち、その周囲が棘で覆われている。棘と管足を用いて海底を移動する。体の下側にある口には5本の鋭い歯をもち、これを用いて海草などを食べる。
[編集] ナマコ綱 Holothuroidea
ナマコ類は、前後に口と肛門をもち、円筒状の形状をしている。骨格はあまり発達しておらず、体は柔らかい。
[編集] クモヒトデ綱(蛇尾綱)Ophiuroidea
クモヒトデ類は、円盤状の体を中心に、細長い腕が放射状に伸びた形状をしている。ヒトデ類と異なり、円盤状の体と腕が明確に区別できる。