森狙仙

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『梅花猿猴図』

森狙仙（もりそせん、1747年（寛延元年） - 1821年（文政4年））は日本の江戸時代後期の絵師。狩野派や円山応挙などの影響を受けながら独自の画風を追求し、養子森徹山へと連なる森派の祖となった。主として動物画を描き、とりわけ得意とした猿画の代表作として『秋山遊猿図』がある。号としては祖仙、如寒斎、霊明庵も用いた。

[編集] 生涯

森狙仙の生涯については残された資料が少なく、かなりの部分が不明である。

1747年（寛延元年）、森如閑斎^[1]という絵師の子として生まれる。名は守像、字は叔牙。出生地については大阪説、西宮説、長崎説がある。いずれの説をとるにせよ、大阪を中心に活動した。はじめ、山本如春斎について狩野派の技術を学び、如寒斎と号した。

やがて、沈南蘋や円山応挙の影響を受けて画風を変え、写実を重視するようになった。還暦を迎えた頃にそれまで「祖仙」としていた号を「狙仙」と改める。1802年に刊行された莚破居士著『浪華なまり』に紹介される^[2]、1814年（申年）には柿本神社に絵馬を奉納するなど、存命時から猿画の名手として評判が高かった。

猿画に習熟するにあたって、猟師に生け捕りしてきてもらった猿を観察して猿画を書いたが、それでは自然そのままの猿を知ることができないと知人に指摘されたため、山野で猿を観察することに数年を費やしたという伝説がある。^[3]

兄である森周峯の子であり円山応挙の高弟でもあった森徹山を養子に迎えた。徹山の後に森一鳳、森寛斎が続き、森派と称される。

1821年（文政4年）、大阪で没した。墓所は易往山西福寺（大阪市北区）にある。

[編集] 作品

残されている作品は猿を描いたものが圧倒的に多い。柔らかな体毛の質感を表現する技術、個々の猿の生き生きとした表情やユーモラスな仕草を描く構成力など、狙仙ならではのものである。また、その他の動物画にも秀逸なものが少なくない。

2006年12月現在、『秋山遊猿図』が重要美術品に認定されているのを除き、国の重要文化財以上の指定を受けている作品はない。地方自治体の文化財として保護されているものとしては大阪府指定の『紫雲寺本堂内陣鳥獣画』^[4]、明石市指定の『猿の図絵馬』^[5]がある。『雨中桜五匹猿図』は2005年の切手趣味週間にちなむ80円郵便切手の図案に採用された。

[編集] 作品リスト

作品名	年代	種類	技法	所有者	所在地	典拠
雨中桜五匹猿図	?			頴川美術館	西宮市	^[6]
雲龍図	?	1幅	紙本墨画	ボストン美術館	ボストン	^[7]
猿猴狙蜂図	?	1幅	紙本墨画淡彩	心遠館	ロサンゼルス	^[8]
春日社頭鹿猿図	1800-	1幅	絹本著色	京都国立博物館	京都市	^[9]
岩上群猿図屏風	?	2曲1隻	紙本著色	三井記念美術館	東京都	^[10]
孔雀図屏風	?	2曲1隻	紙本墨画	ボストン美術館	ボストン	^[11]
猿図押絵貼屏風	?	6曲2隻	紙本墨画淡彩	ボストン美術館	ボストン	^[7]
猿の図絵馬	1814	絵馬	紙本著色	柿本神社	明石市	^[12]
紫雲寺本堂内陣鳥獣図	1773?	障屏画82面		紫雲寺	吹田市	^[4]
秋山遊猿図	?	2幅	紙本着色	東京国立博物館	東京都	^[13]
樹上二匹猿図	?	1幅	紙本墨画着色	ボストン美術館	ボストン	^[7]
双猿胡蝶図	1800	1幅	絹本墨画着色	ボストン美術館	ボストン	^[7]
双鹿図屏風	?	2曲1隻	絹本墨画着色	ボストン美術館	ボストン	^[7]
梅花猿猴図	?	1幅	絹本墨画淡彩	心遠館	ロサンゼルス	^[8]
藤に三匹猿之図	?	1幅		一宮市博物館	一宮市	^[14]
Hart and Doe	1817-1818		絹本墨画着色	パシフィックアジア博物館	カリフォルニア	^[15]
Monkey Performing the Sanbaso Dance	1800	1幅	紙本墨画	パシフィックアジア博物館	カリフォルニア	^[16]