毛唐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
毛唐(けとう)は、本来は「毛唐人(けとうじん)といい、毛色の変わった人たち、あるいは外国から来た人という意味で、江戸時代までは主に中国人を指すことばであった。江戸末期以降、欧米人が来日するようになると、中国人を指すことばとして、「清国人」の代わりに「支那人」が多く用いられ、また、「ちゃんちゃん」という俗語もあった。夏目漱石の「坊つちやん」には、最後の方に「ちゃんちゃん」が出てくる。そして毛唐は、西洋人、白人を指すことばとなった。もっとも、今では「白人」ということばは平気で使われているが、本来は「皮膚の色が白い人」の意味ではなく、「うすらばかな人」の意味である。明治から戦前までの文学作品には、「毛唐」の語句はしばしば出てくるし、特に軽蔑語というわけではない。満州事変や日中戦争(当時は「支那事変」と表記)などで戦況が悪化し、中国人や英米人を敵に回し、彼らを悪意で呼ぶことが多くなったために、現在のような侮蔑語になったものと思われる。