海の闇、月の影
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『海の闇、月の影』は週刊少女コミックで連載されていた篠原千絵の漫画作品またはそれを原作としたOVA作品。コミックスは全18巻(文庫版全11巻)、イメージアルバム、イラスト集も発売された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
仲の良い双子の姉妹・小早川流風と流水は陸上部の先輩である当麻克之に同時に恋をした。克之が選んだのは流風だった。双子といえど、違う人間である二人はいつかは別々の道を歩まなくてはいけない。これが最初の一歩だと二人は感じた。
送別会としてキャンプに出かけた女子陸上部の面々は、雨宿りで入った古墳の中で壁が崩れた途端に異臭を感じて倒れる。皆が息絶えていく中で、生き残ったのは双子だけだった。
古墳の中には現在では考えられないような、感染したものに超能力を与えるウイルスが蔓延していた。他の部員はそのウイルスが原因で死亡したが、双子はウイルスに適応できたために生き残れたのだった。体質は全く同じとはいえ、感染時の双子の心境には天と地の差があり、失恋による激しい悲しみと流風への微かな嫉妬を感じていた流水は、ウイルスにより負の感情を増幅させられてしまい、超能力を使って克之を我が物とするため流風を殺害しようとするようになる。流水によりウイルスに二次感染した人物は彼女の言いなりになる。流風はそれに対する免疫抗体を体内に持つようになったと判明し、流風は克之と共に流水と対抗する決意をする。
克之の父からの連絡により、イギリスより来日したジーン・アルバート・ジョンソンは、天才的な頭脳でウイルスを分析、自ら感染、改造し、新たな能力をつくって様々な人間を実験台にした。そして彼は一つの薬をつくる。それは流風の血を混ぜれば既に流水により操られている者を正気に戻せ、流水の血を混ぜれば既に流風の抗体を受けた者をも感染させられるというものだった。その薬の処方せんは5枚に分けられ、ジーンの創った新たな能力を持つ者たちに受け継がれた。
人々の正気を取り戻そうとする流風と克之、克之が服従せざるを得ない権力を手に入れようともくろむ流水は、争いながら、時には協力しながら、新たな能力者たちと出会い、それぞれの愛憎が絡んで行く。
[編集] 登場人物
[編集] 主な登場人物
- 小早川流風(こばやかわ るか・声:荘真由美)
- 陸上部に所属する高校生。少し内気な性格。流水とは双子の姉妹で、他に流衣子という姉と両親がいる。
- 高校入学当時から一つ年上の当麻克之に流水と共に惹かれており、第一話の冒頭で電撃告白される。
- 古墳でウイルスに感染後、宙に浮く能力・物体を通りぬける能力・流水の感染に対する抗体(唾液や血液がそれに当たる)を持つ。能力は月の満ち欠けに比例し、満月の時は力が最強で、新月の時は能力は出ず、普通の人とほとんど変わらない。(抗体は出る)
- 小早川流水(こばやかわ るみ・声:佐久間レイ)
- 流風とは双子の姉妹。同じく陸上部に所属する。
- 姉であるためか、流風よりは少し活発な性格だが、それほど大差はない。料理の腕は流風より上らしい。
- ウイルスに感染後、流風に対する負の感情が増幅され、克之を手に入れるためなら殺人をも厭わなくなり、流風の命を狙う。能力は流風とほぼ同じだが、唾液や血液を媒介にウイルスを感染させ、相手を意のままに操る能力を持つ。
- 世界征服を狙い、手始めにダムに自分の血液を流し込み一つの街を丸ごと乗っ取るというような所業に出る反面、感染前の優しい性格も残っており、睡眠薬なしに眠る事ができないほど精神を消耗している。
- 当麻克之(とうま かつゆき・声:関俊彦)
- 双子より一つ年上の先輩。県下随一のスプリンターでインターハイ優勝候補。美男子でもちろんモテる。大勢の女性の中から流風を選んだ理由は語られないまま。
- 映像化も多数の大河小説家の父と、専業主婦の母、中学生の弟を持つ。
- 双子たちの能力バトルに巻き込まれながらも、流風を愛し続ける。能力者たちと対等に戦うために、何時の間にか無免許運転も銃の使用もお手のものとなった。
- ある意味すべての事件の元凶でもある。
- ジーン・アルバート・ジョンソン
- 双子と同じウイルスに意図的に感染し、双子を超える強大な能力を手に入れた金髪碧眼の美しい外国人男性。
- 本名はジーン・ヨハンセンで生まれはフィンランドの東の外れのカレリアと呼ばれる場所。カレリアは一卵性双生児の出生率が80%を超える地域で、ジーンは1度は双子になりかけた受精卵が再結合した結果生まれた子供で、そのためかIQ270の超人的な頭脳を持ち、超能力も二人分ある。双子と同様の能力を持つが、能力が月齢に影響される事もない。自身には感染作用も抗体もないが、流水が感染させた者を操る力は当の流水以上。しかし、一つの体に二人分の能力が宿るためか、長時間能力を使いつづけていると肉体に負担がかかり、一時的に視覚に障害が生じる。
- かつてソ連領となったカレリアから亡命し、二度と帰れない美しい故郷を双子たちに見せたいと願い、世界征服を目指し、一時的に流水と手を組み肉体関係をも持った。一方で、流風も愛している。
- 両親と双子の妹たちのアイノとエーダは、亡命の際射殺された。叔父(父の弟)と伯母(母の姉)の息子で従弟にあたる双子の兄弟・イアンとクリスとは髪の色こそ違うが三つ子のようにそっくりな顔をしている。
[編集] 処方せんに関わる者たち
ジーンの創った新たな能力を与えられた者は、双子と同じく、宙に浮く・物体をすり抜けるなどの能力を持つ。ただし、感染作用・抗体は持たず、能力が月齢に影響される事もない。
- 真琴(まこと)
- 可愛らしい幼稚園児の女の子。ウサギの人形にコットンテールと名づけ、いつも持ち歩いている。両親はペンション『スオミ』を経営しており、ペンションをはじめてから両親があまりかまってくれないのを不満に思っている。
- ジーンにより創られた新しい能力を与えられている。物体をすりぬける応用で物を物体にめり込ませる能力を持つ。埋め込まれた物を引きぬく事もできる。幼さ故に人を殺す罪悪感を持たず、気に入らない事があるたびに人々を岩や壁にめり込ませ殺害し、両親すら殺してしまう。
- 水凪薫(みずなぎ かおる)
- 大学生の青年。バイク事故の際に入院した病院で、知らぬ間にジーンに能力を植えつけられた。その事を自覚しないまま、サイコキネシスに目覚め、まだ制御不能なその力で家族と婚約者を殺してしまった。自分に能力を与えたジーンと、能力の母体である双子を憎み、双子やその周りの人々に危害を加えていく。
- 愛する人への行き場のない思いを抱えるという共通点により流水に惹かれるようになる。身につけているピアスは、婚約者へ贈るはずだった婚約指輪につけるために買ったルビーを加工したものである。
- 椎名今日子(しいな きょうこ)
- 克之の先輩で、現在は医学生。克之とかつて交際していた。卒業によって関係が自然消滅してからも克之を思い続けており、その克之が双子のいざこざに巻き込まれた事を知り、嫉妬もあって双子を憎むようになる。双子と対等に渡り合うために自ら望んでジーンから能力を得た。
- 体の一部分だけを切り離し、瞬間移動・浮遊させる能力を持つ。
- 森尾真由夏(もりお まゆか)
- 足の不自由な旧家のお嬢様で、少しばかりわがままなところがある。自分の足がコンプレックスであり「シンは私の足を笑わないもの」と言って、家で愛犬のシンの相手ばかりしている。
- シン
- 真由夏の飼い犬。凛々しく主人に忠実で、人懐っこいが犬嫌いの双子には避けられている。
- ジーンにより能力を与えられた能力犬。動物を自在に操る能力を持つ。
- イアン・ヨハンセン
- クリスチャン・ヨハンセン
- ジーンの従弟に当たる双子。両親がジーンの両親とそれぞれ一卵性の双子であるため、髪の色以外はジーンとそっくりの容姿をしており、彼が創り出した能力四つの全てを持ち、感染者を操ることもできる。ジーンを殺した流風と流水を憎み、殺して真珠に加工しジーンの死んだ海に沈めようと命を狙う。
[編集] その他の登場人物
- 当麻隆(とうま たかし)
- 克之の弟の中学生。流風から抗体を貰うも、ジーンの作った薬を流水が実験したため、感染者となってしまう。
[編集] OVA版
[編集] スタッフ
- 企画:原田宗一郎、浅賀孝郎、高橋豊
- プロデューサー:伊藤靖浩、浅野恵、沢登昌樹、蔭山康生
- 協力:小学館週刊少女コミック
- 監督:出崎哲
- 脚色:吉川惣司、水出弘一
- 絵コンテ:冨永恒雄、四分一節子
- 演出:山口頼房
- キャラクターデザイン:四分一節子
- 作画監督:小林ゆかり、杉野昭夫
- 美術監督:谷村心一
- 撮影監督:岡崎英夫
- 音響監督:藤山房伸
- 音楽:原田宗一郎
- エンディングイラスト:篠原千絵
- 制作協力:マジックバス
- 制作:ビジュアル80
- 製作:バンダイ、鎌倉スーパーステーション、ムービック
[編集] エピソードリスト
- 第一章・甦る呪い
- 第二章・悪夢の予感
- 第三章・運命の対決