渡辺
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渡辺(わたなべ)は、渡部(わたりべ、わたべ)から転じた職業や渡し場に由来する日本の地名、および地名から出た姓。日本で5番目に多い。「渡部」や旧字体の「渡邊」「渡邉」などもある。
尚、「渡辺」のルーツで有名な神社が坐摩神社である。(社号は「いかすり」と読むが、通常は「ざま」)現在地の住所は大阪府大阪市中央区久太郎町四丁目渡辺と言うが、1988年の地名変更まではここを渡辺町と言っていた。渡辺の名のルーツが消えるのに反対する運動が渡辺姓の末裔の間で起こり、結局丁目の後ろの番地の変わりに渡辺の名が残ることになった。
地名の渡辺は、中世に摂津国の旧淀川河口近くに存在した渡辺がもっとも有名である。この渡辺は渡辺津と呼ばれる港であり、現在の大阪市中央区の天満橋から天神橋の間辺りにあった。
平安時代後期には嵯峨天皇の後裔の嵯峨源氏の源綱がこの地に住んで渡辺を名字とし、渡辺氏を起こした。源綱(渡辺綱)の子孫は渡辺党と呼ばれる武士団に発展し、港に立地することから水軍として日本全国に散らばり、瀬戸内海の水軍の棟梁となる。その代表的な支族は西九州の松浦氏であり、松浦氏を惣領とする松浦党である。豊臣氏家臣の渡辺氏や徳川氏譜代の渡辺氏もまた子孫と伝える。