温度計
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温度計(おんどけい)は温度を測定する計器である。温度変化に伴う物性の変化等の物理現象を利用して温度を測定する。一般的に温度を計るものは温度計と呼ばれるが、特定の用途に応じた名前を持つものもある(体温計等)。
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[編集] 語源
J.ルレション(Jean Leuréchon、1591頃-1670)が、1626年に"themomètre"という言葉を使っていて、これが英語に翻訳されたのが語源といわれている。
[編集] 温度計の種類
そのほか、簡易な温度計として、液晶を使ったもの(温度によって色が変わる)がある。
[編集] 温度計の歴史
温度計の歴史の初期においては、それぞれの温度計で目盛りが異なっていた。
- 1592年 - ガリレオ・ガリレイが球付のガラス柱を水面に倒立させて、球部を暖めることによって水面が変化することを示す(空気温度計)。これには異説もあり、ガリレオの友人サントリョ(Santorio,1561-1636)が発明したという説もある。
- 1612年 - サントーリオ・サントーリイが医療に温度計を用いる。
- 1650年頃(遅くとも1654年) - トスカーナ大公フェルディナンド・デ・メディチ(Ferdinando de'Mediti)によって設計、A.アラマッニ(Antonio Alamanni)によって、上端を閉じて大気圧の変動の影響を廃した毛細管を持つ液柱(アルコール)温度計が製作された。
- 1702年 - デンマークの天文学者 オーレ・レーマー(Ole Rømer,1644-1710)が、水の融点と沸点を使って目盛りをふった温度計を製作。
- 1714年 - ガブリエル・ファーレンハイト(Daniel Gabriel Fahrenheit)が水銀を用いた液柱温度計を発明。
- 1821年 - トーマス・ゼーベックが熱電対を発明。
- 1864年 - アンリ・ベクレルがパイロメータの原理を発見
- 1885年 - Calender-Van Duesenが 白金抵抗体温度計を発明。
- 1892年 - アンリ・ルシャトリエがパイロメーターを製作。
他に温度計の発明者として、フランスの博物学者ルネ・レオミュールの名が挙げられることがある。
[編集] 気象観測に用いられる温度計
日本では、気象業務法及びその下位法令により、公共的な気象観測には、検定に合格したガラス製温度計(液柱温度計に同じ)、金属製温度計(バイメタル式温度計に同じ)又は電気式温度計(白金抵抗体温度計に同じ)を用いることとされている。
これらは、-50℃(ガラス製温度計は-30℃でも可)~50℃において所定の性能を発揮しなければならない。
[編集] ガラス製温度計
- ガラス製温度計の感温液としては、主に純水銀が使われる。特殊な構造のものとしては
-
- 二重管温度計:通常の温度計の毛細管及び目盛板を、さらにガラス管に封入して保護したもの
- 最高温度計:毛細管に感温液の球部への逆流を防止する留点があり、最高温度到達後に温度が下がっても示度を保持するもの(構造的には水銀式体温計に同じ)
- 最低温度計:水平な毛細管中に感温液の収縮には引き込まれるが逆には動かない指標が置かれており、最低温度到達後に温度が上がっても指標が示度を保持するもの
- がある。なお、毛細管に用いられるガラス管は、気象観測に用いることができるほどの精度と経時安定性とを有するものが日本では製造できず、ドイツからの輸入に頼っているのが現状である。
- 許容される器差は、構造や測定範囲によって異なるが、標準的な使用条件においては0.3℃である。
[編集] 金属製温度計
- 金属製温度計は、感部にバイメタルを用い、その温度変化に伴う変形を指針の動きに変換することによって温度を測定するものである。バイメタルの材料としては主にアンバーと黄銅との組合せが使われる。構造が簡単で安価なため、家庭用としても普及している。
- 指針と目盛板によって気温を直接表示するもののほか、指針の代わりに記録ペンを駆動し、ゼンマイなどの動力で回転するドラムに巻かれた記録紙に温度の時系列を自動的に記録する自記式のものもよく使われる。
- 使用にあたっては、ガラス製温度計による校正が必要である。
- 許容される器差は、1.0℃である。
[編集] 電気式温度計
- 電気式温度計は、白金の温度による電気抵抗の変化を検出することによって温度を測定するものである。自動・遠隔観測に適するため、現在、気象庁をはじめとする多くの機関で主力となっている。感部に用いられる白金線(抵抗体)は、0℃において抵抗値100オームの「Pt100」規格のものと定められている(同条件で抵抗値50オームの「Pt50」を用いる国もある)。
- 許容される器差は、0.5℃(感部のみについて0.3℃)℃である。
- 電気式温度計には、温度によって誘電率の変化する感温体を誘電体に用いたコンデンサの容量の変化を検出する方式のものもあるが、小型軽量な反面、耐久性や測定精度にやや難があるとされ、現在は、使い捨てが前提のラジオゾンデ用としてのみ認められている(許容される器差は0.5又は1℃(測定範囲により異なる))。
- 家庭用・教材用としてはサーミスタを用いた簡易な製品もあるが、特に常時観測に使用する場合、通電に伴う自己発熱による誤差を生じやすく、耐久性も実証されていないことから、公共的な気象観測には用いられない。
[編集] 特徴のある温度計
- 液体中にそれぞれ質量と体積の違う浮き子を入れ、液体の比重が温度によって変化するのに伴って浮沈する浮き子に表記された数字で,大まかな温度を示す温度計
[編集] 参考文献
- 『科学大博物館 - 装置・器具の歴史事典』ISBN 4-254-10186-4
- 『温度から見た宇宙・物質・生命』ISBN 406257442X