激発物破裂罪
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激発物破裂罪(げきはつぶつはれつざい)とは、日本刑法117条に規定された犯罪であり、人がいるか、またはいると考えられる建造物等で火薬・ボイラーなどを破裂させて損壊させる犯罪を規定したものである。
放火を前近代的なテロとするとこれは近代的なテロであり、放火と同様に多くの国民の生命、身体、財産を危険に遭わせる恐れがあるためである。通常の放火罪と同様、この犯罪構成要因についても人命の損失は問われないし、殺意の有無も問われない。法定刑は放火の例によると規定されているため、現住建造物を損壊した場合には刑法108条の現住建造物等放火罪の例にならい死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役となる。
[編集] 類似犯罪・法令
過失により上記の犯罪行為を行うことを過失激発物破裂罪といい、刑法第117条2項の犯罪に該当することになる。法定刑は失火の例によると規定されており、刑法第116条により五十万円以下の罰金となる。また、業務上必要な注意を怠ったり重過失によった場合は、業務上失火等の罪(刑法第107条の2)に該当し、法定刑は三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金である。
似た法令に爆発物取締罰則がある。爆発物取締罰則は治安を妨げ人の生命を害する目的で爆発物を使用した場合に適用され、激発物破裂罪は建造物等の破壊を基本的な目的としている場合に適用されるという違いがあると考えられる。
[編集] 刑法の条文
- 第九章 放火及び失火の罪
(失火)
第百十六条 失火により、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 失火により、第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
(激発物破裂)
第百十七条 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
2 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。
(業務上失火等)
第百十七条の二 第百十六条又は前条第一項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する。