火山帯
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火山帯(かざんたい、volcanic belt)とは、火山がある程度の幅をもって列をなしているもの。
日本では過去に、千島火山帯・那須火山帯・鳥海火山帯・富士火山帯・乗鞍火山帯・白山火山帯(大山火山帯)・霧島火山帯が区分されていたが、これは単なる地理的な区分であった。その後、個別の火山の岩石学的研究が進み、さらにプレートテクトニクスの研究が進んでプレートの沈み込みに伴うマグマ発生・上昇・火山形成過程が明らかになってくると、火山学上はこのように細かく分ける意味がないこと、逆に形成過程のまったく異なる火山を同一の火山帯に区分していた場合もあることがわかったため、上記の火山帯名は使われなくなった。
現在では火山帯という用語自体があまり使われない傾向にあり、使う場合でも環太平洋火山帯のように規模の大きいものに用いることが多い。
日本の火山を火山帯に区分する場合は、プレートテクトニクス理論に基づき、太平洋プレートの沈み込みに起因するものを東日本火山帯、フィリピン海プレートの沈み込みに起因するものを西日本火山帯と呼ぶ。上記の古い火山帯区分で言うと、白山火山帯(大山火山帯)を狭義の白山火山帯(中部・北陸地方)と狭義の大山火山帯(中国地方)に分け、千島火山帯から狭義の白山火山帯までが東日本火山帯、狭義の大山火山帯から霧島火山帯までが西日本火山帯に相当する。
火山帯をさらに細分する場合は、火山フロントからの距離に応じた細長い火山列に区分するのが合理的である。これは沈み込んだ海洋プレートの到達深度によって発生するマグマの成分が異なるからである。東日本火山帯ではこのような火山列が顕著で、北関東〜信越地方では3列、東北地方では4列、北海道南西部では5列が認められる。
[編集] 関連項目
- 火山前線(火山フロント)