焼灼止血法
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焼灼止血法(しょうしゃくしけつほう)とは出血面を焼くことで蛋白質の熱凝固作用によって止血する方法である。
古代では四肢切断などの重傷の場合に有効な止血法として世界各地で広く用いられてきた。傷口を焼コテで焼くという非常に原始的で苦痛を伴う方法であったが特別な技術・器具・薬品を用いず安価に行えるため広く行われてきた。
16世紀のヨーロッパでは沸騰させた油を傷口に注ぐという方法が用いられていたが、この方法は逆に重度の火傷を起こし止血しても火傷からの感染症で死ぬと言われるほどの悪い処置方法であり、後にアンブロワーズ・パレによって血管結紮法へと変っていく。
現代ではそのような乱暴な医療行為は人間に対しては行われていないが、家畜などに対しては現在でも行われている。
現在では電気メスや医療用レーザーなどの機器か酸などの薬剤を用いて医師の手によって行われている。
焼灼止血法は止血する代わりに火傷を負わせるという外傷の取引のような治療法であるため、適切に焼灼が行われないと逆に悪化させる結果になる。そのため一般人が行うべきではなく、このような人体を侵襲する止血方法を医師以外が行うと医師法違反に問われる可能性もある。