琵琶牧々
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[編集] 概要
鳥山石燕による『画図百器徒然袋』で描かれている。琵琶が琵琶法師に変化した姿であり、付喪神(器物が変化した妖怪)の一種とされる。体形は人間のようだが、頭部は琵琶であり、盲目の琵琶法師のように目を閉じて杖をついている。
[編集] 伝承
醍醐天皇の時代、「玄上(げんじょう)」と「牧馬(ぼくば)」という名の2つの琵琶が、宮中秘蔵の名器として伝わっていた。特に玄上の方は、琵琶の下手な者が弾いても鳴らないという不思議な琵琶だった。しかし後の村上天皇の時代、玄上が紛失してしまった。
しばらく後、雅楽家の源博雅が殿中にいたところ、琵琶の美しい音色が響いてきた。博雅が音色の方向を辿って外へ出ると、そこには失われた玄上があった。博雅が玄上の音色を追ってやって来たことを告げると、音色はやみ、ひもで吊るされた玄上が降りてきた。玄上の持つ不思議な力に魅せられた鬼が玄上を盗み、それを弾いて音色を奏でていたのであった。
この玄上と牧馬が、後に琵琶牧々へと変化したとされている。
[編集] 考察
鳥山石燕より以前、古くは室町時代の『百鬼夜行絵巻』に琵琶の妖怪が描かれていることから、石燕は『百鬼夜行絵巻』と上記の伝承をもとに、『画図百器徒然袋』の琵琶牧々を創作した可能性が示唆されている。