皇室会議
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皇室会議(こうしつかいぎ)は皇室に関する重要な事項を合議する国の機関である。皇室典範28条以下に定められる。重要事項について、皇室会議の「議を経」または「議によ」ることとされ、諮問機関とは一線を画する。
なお、宮内庁長官が議員として参加する、会議が宮内庁本庁舎において行われる等宮内庁とは関係は深いものの、直接には関係ない。
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[編集] 皇室会議で決すべき事項
「皇室会議は、この法律及び他の法律に基く権限のみを行う」(皇室典範37条)と定められているので、皇室会議で決すべき事項は、新たな法律の制定・改廃がされない限り以下のもののみである。※印が付されているものは、出席議員の3分の2以上の多数で決する事項。
[編集] 皇位継承関係
- 皇位継承順位の変更(皇室典範3条)※
[編集] 婚姻関係
- 立后(天皇の婚姻)と皇族男子の婚姻(皇室典範10条)
- 他の事項が皇室会議の「議による」とされるのに対して、これのみ皇室会議の「議を経る」とされる。
[編集] 皇籍離脱関係
- 15歳以上の内親王・王・女王のその意思に基づく皇籍離脱(皇室典範11条1項)
- 皇太子・皇太孫を除く親王・内親王・王・女王のその意思に関わらない皇籍離脱(皇室典範11条2項)
- 皇籍離脱する親王・王の直系卑属とその妃が、特例として皇族の身分を離れないものとすること(皇室典範13条但書)
- 皇族以外の女子で親王妃・王妃となった者で夫を失って未亡人となった者のその意思に関わらない皇籍離脱(皇室典範14条2項)
[編集] 摂政関係
- 摂政の設置(皇室典範16条2項)※
- 摂政の変更と摂政就任順位の変更(皇室典範18条)※
- 摂政の廃止(皇室典範20条)※
[編集] 議員
皇室会議の議員には、以下の10人の者が充てられる。
- 皇族2人―成年皇族の互選による。任期4年。
- 衆議院の議長・副議長(衆議院解散時は、後任者が定まるまで解散の際の議長・副議長)
- 参議院の議長・副議長
- 内閣総理大臣
- 宮内庁の長(宮内庁長官)
- 最高裁判所の長である裁判官(最高裁判所長官)
- 最高裁判所の長である裁判官以外の裁判官(最高裁判所判事)1人―最高裁判所の長である裁判官以外の裁判官の互選による。任期4年。
[編集] 予備議員
議員に事故があるときや議員が欠けたときに職務を行う者として、以下の予備議員が置かれる。職務を行う順序は互選の際に定める。
- 皇族である議員の予備議員2人―成年皇族の互選による。任期4年。
- 衆議院の議長・副議長である議員の予備議員2人―衆議院議員(衆議院解散時は、後任者が定まるまで解散の際の議員)の互選による。
- 参議院の議長・副議長である議員の予備議員2人―参議院議員の互選による。
- 内閣総理大臣である議員の予備議員―内閣総理大臣臨時代理の予定者として指定された国務大臣(通常は内閣官房長官)
- 宮内庁の長である議員の予備議員―内閣総理大臣の指定する宮内庁の官吏(通常は宮内庁次長)
- 最高裁判所の裁判官である議員の予備議員2人―最高裁判所の長である裁判官以外の裁判官の互選による。任期4年。
[編集] 議事運営
- 内閣総理大臣である議員が、皇室会議の議長となり、招集権を有する。
- 皇位継承順位の変更・摂政の設置・摂政の変更と摂政就任順位の変更・摂政の廃止を議題として4人以上の議員から要求があるときは招集しなければならない。
- 6人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない(定足数)。
- 議事は、皇位継承順位の変更・摂政の設置・摂政の変更と摂政就任順位の変更・摂政の廃止を議題とする場合には、出席議員の3分の2以上の多数で決する。それ以外の場合には、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決するところによる。
- 議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には、参与することができない。
- 皇室会議に関する事務は、宮内庁長官官房秘書課がつかさどる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 皇室会議(宮内庁サイト)