盛岡弁
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盛岡弁(もりおかべん)は、岩手県盛岡市の中心部で用いられる方言。中北部方言の一つ。盛岡弁は広義の南部弁に属す。しかし、ひとくちに南部弁といっても地域によって方言に差がみられる。盛岡弁もまた南部藩領内の他地域のことばとは大きく異なる特徴を有することばとして形成されてきた。
江戸時代、盛岡は盛岡藩(南部藩)の城下として栄えたため、敬語表現の発達がみられるのが特徴である。主な特徴として、以下の点が挙げられる。
- 敬語表現に明確な段階が存在する。
- 東北方言に多い平板アクセントではない。
- 町人言葉も武家言葉に近似する。
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[編集] 語彙
[編集] 親しい間柄での敬語表現(多くは女性が用いる)
- あのなはん・・・あのね
- んだなはん・・・そうだよね
[編集] 代表的な敬語の文末表現
- そうでがんす(ござんす)・・・そうです
- そうでがんすか(ござんすか)・・・そうですか
- そうでがんすなす(ござんすなす)・・・そうですよね
- そうでがんすえん?(ござんすえん?)・・・そうでしょう?
- そうでながんす(なござんす)・・・そうではありません
[編集] 代表的な敬語の段階表現
- おでれ・・・おいで
- おでんせ・・・おいで下さい
- おでってくなんせ・・・おいで下さいませ
- おあげ・・・お上がり
- おあげんせ・・・お召し上がり下さい
- おあげってくなんせ・・・お召し上がり下さいませ
- おへれ・・・お入り
- おへれんせ・・・お入り下さい
- おへれってくなんせ・・・お入り下さいませ
[編集] 特徴的な挨拶表現
- もっし・・・ご免下さい
- お静かに・・・(見送る側が言う)さようなら
- ご油断なく・・・お気をつけてお帰り下さいませ
[編集] 会話例
- 「しばれるなはん」・・・冷えますね。
- 「んだなはん」・・・そうですね。
- 「おめはん、どごさおでるのす?」・・・あなた、どこに出かけるところ?
- 「お八幡さんさ、行ぐどごでやんす」・・・八幡宮に行くところです。
- 「車でおでるのすか?」・・・車で行くのですか?
- 「そでがんす」・・・そうです。
- 「新たに鳥居こしぇでだんとも、道おべだのすか?」・・・新しく鳥居を造ってたけれど、道はわかりますか?
- 「んだば、はっぱり、ほでねなはん」・・・それなら、さっぱり解らないわ。