第二量子化
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第二量子化(だいにりょうしか, Second quantization):まず n 個の多粒子系を考える。これを記述する多体波動関数は、系の粒子がフェルミ粒子なら任意に選んだ 2 粒子の交換により多体波動関数の符号が変わる(反対称)。一方、系の粒子がボース粒子なら同様な 2 粒子の交換に対し符号は変わらない(対称)。
ここで、多体波動関数が n 個の一体の波動関数(一粒子波動関数)から構成されるとして、個々の一体波動関数の占有数を (N1, N2, ..., Nn) と表現する。占有数 Ni(i は 0 ~ n の間の任意の整数)は、フェルミ粒子では 0 または 1 の値のみを取り得る。ボース粒子なら 0 以上の任意の整数(∞ まで)となる。この占有数 Ni を 1 増やすような演算子(生成演算子あるいは創成演算子)a†、及び Ni を 1 減らすような演算子(消滅演算子)を aとする。これら生成・消滅演算子 a†, a を使って、一粒子演算子、二粒子演算子などが定義できる。
生成・消滅演算子 a†, a は、フェルミ粒子系においては、反交換関係; {ai , aj†} = δij を満たし、ボース粒子系においては、交換関係; [ai , aj†] = δij を満たす。 この生成・消滅演算子 a†, a を導入した形式を第二量子化と言う。
これは、もとの一体波動関数が、ハミルトニアン H の固有関数であり、この段階で既に量子化がなされている。この一体波動関数を更に、生成・消滅演算子 a†, a を導入して記述し直すため第二量子化と言う。