篠崎狐
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篠崎狐(しのざきぎつね)は、江戸時代の奇談集『梅翁随筆』に登場する化け狐。
[編集] 内容
武州篠崎村(現・東京都江戸川区篠崎)に、4匹の悪戯狐が住んでいた。
ある夏の日のこと。草原で狐たちが昼寝しているところへ、1人の行商人が通りかかった。商人は日頃の悪戯の仕返しとばかりに、大声で狐たちを脅かした。狐たちは飛び起き、慌てて駆け去っていった。
その日の夕方。行商人が知人宅に立ち寄ると、その家の女房が亡くなったとのことであった。家の主人は野辺送り(亡くなった人を埋葬地まで見送ること)に行くと言い、行商人に留守を預けて家を出て行った。
行商人がその家で主人の帰りを待っていたところ、女房の亡霊が現れ、行商人に噛み付いてきた。行商人は悲鳴を上げ、血を流しながら逃げ惑った。そこへ通りかかった農夫は、さてはあの悪戯狐に化かされたかと、行商人に水をひっかけたところ彼は正気に戻った。
反省した行商人は、あの狐たちが昼寝していた場所へ行き、小豆飯と油揚げを備えて謝ったということである。
[編集] 関連項目
[編集] 出典元
- 村上健司 『妖怪事典』 毎日新聞社、2000年、82頁。
- 水木しげる 『妖鬼化 1 関東・北海道・沖縄編』 Softgarage、2004年、60頁。