総髪
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総髪(そうはつ)とは江戸時代前期から男性神官や儒学者の髪形として結われたもの。女性の髪の結い方の場合は総髪(そうがみ)と呼ばれる。
[編集] 総髪(そうはつ)
月代をそらずに前髪を後ろに撫で付けて髪を後ろで引き結ぶか髷を作った形を言う。髪を結ぶ位置が高いものは形が慈姑に似ることから「慈姑頭」と呼び、時代劇の医者は大体この髪形をしているがこれはフィクション。本来、医者は非戦闘員(金創医)として戦場に出るため誤射を防ぐ目的で髪をそりあげていたので江戸の人々ははげ頭を見れば医者か坊主とわかった。坊主の女犯は罪であったため、不真面目な坊主などは医者や俳句の師匠の振りをして吉原に出向きなどもした。髪を残すのはまだ見習いの医者である。
神官や儒者は思想上の問題から戦闘にかかわる意思がないことを誇示するために、武士の印であった月代をそらないでそのまま髪を残していた。また、儒者に限らないほかの思想家なども結い、幕末ごろには尊皇攘夷思想の若者の間に流行している。