職人
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職人(しょくにん)とは、自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである。江戸時代の士農工商の「工」にあたる。
産業革命以前には、職人が生産活動の中心となっていた。現在では、手工芸品(特に伝統的工芸品)を作る人や大工・左官・植木屋などが職人と呼ばれる。歴史的に日本では職人を尊ぶ伝統がある。朝鮮より渡来した陶芸工や鉄器鍛治は士分として遇された。
職人の持つ技術は職人芸とも呼ばれる。
職人気質(しょくにんかたぎ)という言葉がある。これは「自分の技術を探求し、また自信を持ち、金銭や時間的制約などのために自分の意志を曲げたり妥協したりすることを嫌い、納得のいく仕事だけをする傾向」、「いったん引き受けた仕事は利益を度外視してでも技術を尽くして仕上げる傾向」などを指す。日本では、こうした昔気質を持つ職人が高度経済成長期の頃から減少したといわれる。
また、名工の中にはいわゆる人間国宝に認定されたり、叙勲される者もいる。手工芸分野の人間国宝には、日本工芸会の推薦が必要とされている。その他職人に対する大臣表彰や地方自治体表彰などもあるが、すべて本来の優れた職人像とはかけ離れているという異論もある。