肉便器
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肉便器(にくべんき)は、男性が、性交によって射精欲を満たす事だけが目的で、付き合っている女性の事を指す俗語(蔑称)。もともと官能小説のタイトルなどに使われていた扇情的なスラング。
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[編集] 概要
男性を対象とした官能小説やグラビア雑誌(ポルノ)にて古くから用いられ、単に性的な排泄のみの対象として扱っており、人を人とも思わぬ差別的な意味合いを持つので、女性蔑視の言葉である。元々の文脈では便器=公衆便器であり、不特定多数の相手との性交を暗喩していた。近年、インターネット上の掲示板などで使用されるスラングでは、特定の性的パートナーに対する侮蔑として用いられる事が少なくない。相手の女性は恋人関係のつもりで付き合っていたとしても、男性は肉便器のつもりで付き合っているという事は、男性側の性自慢話(多分に誇張を含む)でたまに聞く話であるし、当人同士が思ってなくとも、他人から見れば明らかに肉便器として扱われている例はよく見受けられる。又、戦後増加した外国人(多くは白人)と交際する日本人女性をさして、これらを日本人女性側のコンプレックスの上に成り立った外国人男性の性欲の捌け口に成り下がった存在として、外国人と交際する日本人女性全般を肉便器と揶揄する表現も多用されてきているという説もあるが、元来その類いの用語は「パンパン」「イエローキャブ」が使われていた。
この語は主に、男性主体の性的な用語である。男性の性欲に限った捌け口になっている女性を指すが、その一方で貞操観念が希薄な女性に対する蔑称として使われる事も多く、この場合はヤリマンと同義語になる。さらに前述を理由として、過去に男性と性交をし処女を失った(未婚)女性全般に対して使われることもあり、その場合は「非処女は肉便器」等と電子掲示板上などで面白おかしく用いられることがたびたびある。いずれにせよ日常生活ではほとんど用いられない言葉であり、女性側の性欲および人格を無視する、発してしまえば人間関係の修復は不可能であろう最大限の侮蔑の意味を含む言葉である。ちなみに、男女問わず、排泄物を経口摂取、あるいは身体に塗布して性的興奮を得る性的嗜好はスカトロジーに分類される。その類いの俗称に「人間便器」があり、肉便器とは曖昧に区分される俗語である。
[編集] この語が使われる状況
この語はおおむね、男性がある女性を性的に淫佚であるとスティグマを貼り付ける事で、第三者や世間に対し、その女性に対する男としての社会的責任の回避の承認を得る目的で使われる事が多い。すなわち、ある未婚の女性を誘惑し、思いを遂げたとする。これに対しては彼はその女性に対する社会的責任が課せられる事になる。しかしながら、その女性が性的快楽を求めて多くの男性と関係を持っている人間であるとの評価があれば、男に対し敢えて結婚に踏み切るべきとする社会的圧力は加わらない事になる。このような目的で男性はお互いに、「○△兄弟」と呼び合う事で、その女性に対する婚姻への責任を回避し、性的対象として関係を続けていく正当性を担保する事が出来るのである。
[編集] 語源
前述の通り、官能小説などで用いられてきた言葉である。似たような言葉でもっと古い言葉に「公衆便所」がある。大小各種の便を排泄するための器である通常の便器とは異なる。妊娠目的ではなく、セックスによって無駄に射精する行為を精液の“排泄”とみなし、女性の膣をその受け皿、すなわち便器と見なした事から出来た用語である。
[編集] セックスフレンド
なお、日本では1990年代より、女性にも性欲が在り、また相互合意の上での性欲だけを満たす関係を指す言葉としてセックスフレンド(セフレとも略される)という語が登場、極めてネガティブなイメージのある肉便器なる語から女性蔑視忌避の点で、セックスフレンドなどのようなイメージの明るい・相互合意を強調する語への置き換えも見られる。