荒野に獣慟哭す
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荒野に獣 慟哭すとは、夢枕獏作の「スーパー伝奇バイオレンス」小説。5巻完結。
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注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
ジャングルの奥地、食人習慣のある少数民族の脳から見つかったウィルス独覚菌に、宿主の能力を飛躍的に上昇させる力があるのが発見され、これを利用して最強のバイオ兵士、獣化兵が産み出された。しかし、彼らは獣の能力、体力とともに外見も獣に変化し、性格も残忍で殺人嗜好を持つ物になっていた。そんな中で産み出されたニュータイプの獣化兵である御門周平は人間の外見を保ったままで常人を遙かに超える能力を手に入れた。しかしその手術で以前の記憶を失ってしまい、様々な勢力の思惑で、獣化兵を巡る事件に巻き込まれていくことになる。
[編集] 用語
- 独覚菌
- ジャングルの奥地で発見された希少なウィルスで、脳に寄生し、宿主の能力を最大限まで引き出す作用を持つ。
- 獣化兵
- 独覚菌を脳内に植え付けることで産み出されたバイオ兵士。皆人間にはない特殊な能力を持つ。ニュータイプを含め12人の獣化兵がおり、十二神将の名がそれぞれつけられている。御門以外は全員元ゾンビストである。
- ゾンビスト
- 自衛隊の特殊部隊員で、特殊な任務を遂行するために訓練中の事故を装い、戸籍を抹消した兵士たちのこと。自衛隊から土方グループに買い上げられる。
[編集] 登場人物
- 御門 周平(竹島 丈二)
- 主人公。独覚菌研究の助手をしていたが、ニュータイプの獣化兵となる被験者に自ら志願した。その手術により以前の(竹島丈二であった)記憶を失い、御門周平として獣化兵の力を得た。
- 御門 京子(一ノ瀬 京子)
- 御門の妻を名のる女性。御門と(正確に言うならば竹島と)以前交際していた。
- 久能 仁
- 元ゾンビスト。薬師丸法山に恋人を殺害され、復讐のために御門とともに薬師丸を追う。
- 薬師丸 法山
- 古武術と格闘技の達人であり、ゾンビストの教官にしてリーダー。並はずれた身体能力は人間にもかかわらず、獣化兵に匹敵する。
- チム
- 呪師と名のる不思議な少年。獣化兵を素手で殺すほどの腕前を持ち、御門も含めすべての獣化兵、そして薬師丸を殺すと宣言する。
[編集] 漫画版
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伊藤勢の作画による漫画版が、月刊マガジンZ2004年5月号から連載されている。 骨子となるストーリーや主要な登場人物は原作を踏襲しているが、ストーリー、キャラクター設定全般において多数の改変がなされている。
[編集] 主な改変点
- 久能 仁は登場しない。
- 原作では、物語の発端となったウイルスは、ウイルスであるにもかかわらず「独覚菌」と呼称されていたが、これを「独覚ウイルス(Dokkaku Virus)」に改称している。
- 原作における「獣化兵」の呼称が「独覚兵」に改められている。これは、獣化兵というネーミングが高屋良樹の漫画『強殖装甲ガイバー』で既出だったことによる。原作者は原作第二巻の後書きで、自分が『ガイバー』を既読であり、無意識に流用したことを認めている(ただし、呼称のみの問題であり、それぞれの設定はまったく異なる)。
- 12人の独覚兵全員に、フルネームの本名と人体実験前の人間としての風貌が設定されている。
- 作画者である伊藤勢のスター・システムにより、彼の過去作品から何名かキャラクターの外見や性格設定が流用されている。
[編集] 漫画版の登場人物
- 御門 周平
- 主人公。原作では32歳という設定だったが、漫画版では21歳の学生ということになっている。また、御門の名はそのまま本名である。
- 赤石 摩耶
- 漫画版のヒロインで、一ノ瀬京子の異母妹。メキシコ育ちでゲリラ戦の経験を持つ女性。漫画版では既に故人である一ノ瀬京子に代わって御門に接触する。
- 薬師丸 法山
- 漫画版では、野太刀に黒眼鏡を掛けて登場するが、これは作画者のスター・システムを代表するトリックスター役が演じているためである。性格的にも原作に比べて、道化じみた振る舞いが目立つ。
- ティギティギル
- 原作のチムに相当するキャラクターだが、性別が女性になっている。ティギティギルは呪師としての名前で、本名は「カレワラ」だが、これは原作に登場する別のキャラクターの名前と同じである。
- 摩虎羅
- 本名、葉沼 巴。独覚兵の一人。原作では端役であったが、漫画版では未登場の久能に代わって御門の相棒を務める。キャラクターの元ネタは、作画者の過去作品ニルヴァーナ・パニック!!に登場した「ハヌマット」で、本名もそれにかけた洒落になっている。なお、彼女も漫画化にあたって性別が女性に変更されたキャラクターである。
- 夢枕獏
- 原作者本人。摩耶の旧友として登場し、御門たちを物質的にも精神的にも援助する。作中で、愛猫の弾き語りを披露するシーンがあるが、これは氏の初期作品猫弾きのオルオラネのオマージュ。
- 伊藤勢
- 作画者本人。なぜか行く先々で、御門の絡んだ事件に遭遇することになる。