葛優
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葛優(グォ・ヨウ、Ge You、ピンイン gĕ yōu 、1957年4月19日 - )は中国北京出身の俳優。
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[編集] プロフィール
葛優のキャリアは決して順調とは言えず、高校卒業後は北京近郊の生産部隊で養豚業に従事していた(いわゆる下放)。25歳の時、軍の全総文工団(文芸工作団)に入団し新劇俳優として俳優人生が始まり、1984年、偶然『盛夏和她的未婚夫』中の端役を演じたことから映画俳優としての道を歩むようになる。
最初に葛優に有名にしたのは1988年作家・王朔の同名小説を改作した映画『頑主』で、彼の外見や雰囲気は原作のユニークな小人物の特徴にぴたりと符合し、初めて金鶏賞の最優秀男優賞にノミネートされた。
1992年北京電視台が放映したコメディドラマ『編輯部的故事』により葛優は全国津々浦々に知られる大スターとなる。以後10数年間、葛優はスクリーンで20数名の異なるキャラクターに扮した。なかでも 最大の成功は1993年張芸謀が作家・余華の同名小説を改作した映画『活着(活きる)』である。劇中、葛優は“福貴”(主人公)の青年時代から老年までを演じ、その緻密で徹底した演技で世の中の辛酸苦楽を味わい尽くす小人物の姿をリアルに表現して見せた。
それ以外に、『烈火金剛』(何群監督、1991年)で彼の演じた人情と気骨溢れる傀儡軍の小隊長は従来の敵役の制約を跳び越えた。続く黄健中の『過年』では好色で下品不真面目な長姉の婿に扮し、百花奨の最優秀助演男優賞を得賞。1993年、陳凱歌監督『覇王別姫(さらば、わが愛/覇王別姫)』で葛優が演じた京劇を熱愛する袁四爺は一見余り重要でないようでいて、実はひときわ光彩を放つ人物である。
葛優はその外観から基本的に3枚目スターであるが、彼はその固定的な演技表現を打ち破ることが可能であり、凡人の持つ人間的な側面を引き出し、リアルな生活感を与える。葛優のスキンヘッドと“不温不火”的ユーモアのある持ち味は、多くの観衆から好感を持たれた。1997年からは馮小剛監督とコンビを組み、何作もの賀歳片(旧正月に上映する映画)に出演、中国の賀歳片市場の最大の勝者となった。
[編集] トリヴィア
- 葛優の父の葛存壮は大ベテランの映画俳優で、50年代から無数の銀幕の人物を演じ、その多くは敵役(日本人役が多かった)であった。主要作品には『小兵張嘎』、『紅旗譜』、『大清砲隊』などがある。彼は葛優の演技の向上に大きな影響を与えた。母の施文心は北京映画製作所のシナリオ編集者で、妻の賀聡は文工団の美術教師、妹の葛佳も『北影画報』の編集者。葛優一家は映画の名門であると言える。
- 大の飛行機嫌い(高所恐怖症?)として有名。
[編集] 主要作品
- 夜宴(2006)
- 窒息(2005)
- 天下無賊(2004)
- 卡拉是条狗(わが家の犬は世界一)(2004)
- 手機(2003)
- 大腕(ハッピー・フューネラル) (2001)
- 没完没了(ミレニアム・ラブ) (1999)
- 不見不散(遥かな想い チャイニーズ・ドリーム in U.S.A) (1998)
- 半生縁 (1997)
- 甲方乙方(夢の請負人) (1997)
- 有話好好説(キープ・クール) (1997)
- 秦頌(異聞 始皇帝謀殺) (1996)
- 活着(活きる) (1994)
- 天生胆小 (1994)
- 消失的女人 (1993)
- 霸王別姫(さらば、わが愛/覇王別姫) (1993)
- 上一当 (1992)
- 決戦之后 (1992)
- 離婚大戦 (1992)
- 大撒把(再見(ツァイチェン)のあとで) (1992)
- 過年 (1991)
- 喜劇明星 (1991)
- 烈火金剛 (1991)
- 新潮姑娘 (1991)
- 編輯部的故事(1991)
- 馬路騎士 (1990)
- 黄河謡 (1989)
- 代号美洲豹(ハイジャック/台湾海峡緊急指令(1989)
- 頑主 (1988)
- 盛夏和她的未婚夫 (1985)
[編集] 受賞歴
- 1998年 第21回電影百花奨主演男優賞(『甲方乙方(夢の請負人)』
- 1994年 第47回カンヌ映画祭主演男優賞(『活着(活きる)』)
- 1993年 第13回電影金鶏奨主演男優賞(『大撒把(再見(ツァイチェン)のあとで)』)
- 1992年 第10回電視金鷹奨主演男優賞(『編輯部的故事』)
- 1992年 第15回電影百花奨助演男優賞(『過年』)