詩人追放論
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詩人追放論は、プラトンの『国家』のなかの一部の記述を指して言う。
プラトンは『国家』のなかで「神々が姦淫したり、酒を飲んだり、悪企みしたりするような物語は、知らせないほうがよい」、「ホメロスはじめ、多くの詩人をわれわれはポリスからおいはらわなければならない」と書いた。
しかし、これは誰に聞かせてはならないのかというと、それは「パイスに」と書いてある。パイスとは、子供、童(わらべ)のことである。プラトンのテクストをよく読むと「寝物語に母や乳母たちがパイスに語る物語に、ホメロスをそのまま話してはならない」とある。すなわち、小さい子供にそういう物語を物語ってはいけないのであり、例えば「ネアニアス」(青年の意)などという単語は使われていない。
プラトンがホメロスをいかほど尊敬していたかは『イオン』で「神に呼ばれた詩人」としてホメロスを遇していることでも明らかである。
すなわち、プラトンが『国家』で詩人たちをわれわれのところから追放しなければならないと言っているのは、幼少年教育についてである。