貯蓄投資バランス
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貯蓄投資バランス(ちょちくとうしばらんす)とは、国民経済計算の資本調達勘定におけるバランス項目のこと。日本の国民経済計算では、従来、貯蓄投資差額と表章されていたが、2004年度確報以降は、純貸出・純借入と表記されるようになった。マクロ経済学においては、マクロバランスと呼ばれている。
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[編集] 概要
政府、企業、家計といった部門別の貯蓄投資バランスは、黒字であれば当該部門が資金余剰となり、赤字であれば資金不足で借入を行ったことを意味する。国内の各部門の貯蓄投資バランスの合計は、日本経済全体の貯蓄投資バランスであり、これは概念上は経常収支に一致する。
[編集] 貯蓄投資バランスと経常収支
国際収支の状況は、しばしば国内の各部門の貯蓄投資バランスの状況と関連付けて議論される。例えば、1980年代の米国の双子の赤字は、家計貯蓄率が低い中で政府の貯蓄投資バランスが大幅な赤字だったためであるという理解ができる。
しかし、こうした見方は経常収支やその大きな要素である貿易・サービス収支の黒字、赤字が企業や産業の国際競争力によって決まるという、産業や企業の理解とは大きく異なっているため、批判も少なくない。また、経済政策に関する含意からも批判がある。1980年代前半の日本のように、家計貯蓄率が高く企業の投資の資金需要が少ない中でも、政府部門の貯蓄投資バランスの赤字(財政赤字)を拡大すれば、経常収支の黒字を縮小できることになる。このため、1980年代の日米間の貿易不均衡を巡っては、日米構造協議などの場で、米国側から国債を発行して公共投資を増加することによって日本の経常収支黒字を削減すべきであるという圧力が続き、1990年に10年間で430兆円の公共投資を行うという公共投資基本計画が策定された背景となっている。1980年代後半以降日本の財務省(旧大蔵省)は、貯蓄投資バランスと経常収支の関係について否定的な立場をとって来た。
家計、企業、政府の貯蓄投資バランスは、それぞれの経済活動の結果として決まるものである。貯蓄投資バランスと経常収支の関係は、貯蓄投資バランスが経常収支を決めるという一方的な因果関係を意味するものではなく、相互に影響しあっている。しかし、各部門の貯蓄投資バランスの和が経常収支に等しいという恒等式は必ず成り立つので、有用な分析手段であるという見方も多い。
[編集] 日本の貯蓄投資バランスの推移
高度経済成長期には家計部門が大幅な黒字で企業部門が積極的な設備投資を行っていたため大幅な赤字という状況であった。しかし、第一次石油危機を契機に日本経済の成長率が低下すると、企業部門の赤字幅が縮小した。第二次石油危機以降は、政府部門と企業部門の赤字が続いたものの、家計部門の黒字が大きく、経常収支の大幅な黒字が続いた。
バブルが崩壊した1990年代以降は企業部門の赤字が縮小し、1990年代末頃からは企業部門の黒字が続いている。
[編集] 関連項目
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