過電圧
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過電圧(かでんあつ、Overpotential)とは、電気化学反応において、熱力学的に求められる理論電位と、実際に反応を進行させるために必要な電位の差のことをいう。
例えば、酸素の還元反応(O2 + 4e- + 4H+→2H2O)の理論電位は+1.23V (vs. NHE)である。したがって、電極電位を+1.23V以下にすれば酸素が還元されて水が生成するはずであるが、実際には反応を進行させるためにはさらに低い電位(白金電極を用いた場合0.8V程度)をかける必要がある。
過電圧の原因は、反応物質の活性化に余計なエネルギーが消費されるためである。上記の酸素還元反応は、燃料電池で利用されているが、過電圧が大きいために得られる起電力が理論値よりもかなり低い値に留まっているのが現状である。したがって、過電圧をより小さくするための、活性の高い電極触媒の開発が活発に行われている。