釘調整
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パチンコにおける釘調整(くぎちょうせい)とは、パチンコ玉の流れを制御するためにパチンコ台の盤面に打ち込まれている釘や風車の角度等を、ハンマー等で叩くことで調整すること。
主にパチンコ台で重要な、スタートチャッカー(ここをパチンコ玉が通過することで、フィーバー機なら大当たり抽選の開始、羽根モノなら役物への入賞ルートにある障害物の開閉開始の契機となる)・アタッカー(フィーバー機において大当たり時のみに開く入賞口)などへ流れる玉の数を増減させ、最終的な出玉を増減させるために行われる。
釘調整を専門に行う人間は俗に「釘師(くぎし)」と呼ばれ、『釘師サブやん』(ビッグ錠)といった漫画の題材となったこともあるほか、近年では釘師養成のための学校も存在する。
[編集] 背景と法的リスク
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パチンコ台に打ち込まれた釘等の状態を各パチンコ店が独自に調整することは、本来厳密に言えば違法である。
元々パチンコ台は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風適法」と略す)に定めのあるところにより、出玉率等が一定の基準内に収まっているものしかパチンコ店に設置することができない。実際には保安電子通信技術協会による型式検定に合格し、各都道府県の公安委員会で認可を受けたもの、ということになるが、パチンコ店が独自に釘調整を行うということは、厳密に言えばこの型式検定時の釘の状態を変更することに他ならない。またその変更を行うことにより、明らかに台の性能に影響が出ることは避けられないことから、建前上は風適法第9条違反(公安委員会の承認を受けずに設備の変更を行う)として処罰の対象となる。
しかし実際には、パチンコ店において当たり前のように釘調整が行われている。これは建前上「パチンコ台の製造時における釘の打ち込み方のばらつきを極力なくすため」ということになっている。今日においてもパチンコ台の製造過程における釘の打ち込みにおいては、釘間のピッチや盤面から突き出す釘の長さ・盤面に対する釘の角度等にある程度の誤差が出ることは避けられず、また各店舗への納品における搬送過程において調整に狂いが出ることもある。このため、名目上は「各パチンコ店への台の納品時に、メーカーの担当者が点検後微調整を行う」ということにして釘調整が行われている。
この名目に従えば、一度実際の営業にパチンコ台が使われ始めた後は釘調整を行うことは一切許されないことになる。ただ実際には営業開始後もパチンコ店の担当者(多くは店長クラスの人間)により営業時間外に釘調整が行われることが多い。また、営業開始後に当該パチンコ台に対し釘調整が行われているかどうかを確認することは現実問題として困難である。そのため警察も、あからさまに釘を曲げるなどの行為が行われていない限り、各パチンコ店による釘調整を黙認せざるを得ない状態となっている。
このように、あくまで釘調整は「本来違法だが黙認されている」ものに過ぎないため、営業時間中の釘調整は当然違法行為として処罰の対象となるし、営業時間外の釘調整であっても、これを大っぴらに公表すると警察の指導・処罰の対象となる場合がある。事実、NHKスペシャル『新・電子立国』でパチンコをテーマに取り上げた際には、番組内でパチンコ店のグランドオープン初日の営業終了後に店長が各メーカーの担当者を集め釘調整を要求するシーンを放映したことから、ディレクターの相田洋が後に著書で明らかにしたところによれば、後日当該パチンコ店に警察の指導が入ったという。