鈴木良
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鈴木 良(すずき りょう、1934年 - )は、日本を代表する部落問題研究者、歴史研究者である。
それまで戦前の主流であった「政治構造が差別を生み出した」とする政治還元主義と、戦後の主流であった「独占資本が差別を生み出した」とする経済還元主義という2つの考え方だけに支配されていた部落問題研究の分野において、「部落問題から歴史を見るのではなく歴史から部落問題を見ていかなければならない」という新たな視点を提唱し、戦後の部落問題研究を大きく発展させた。 1970年代初頭に部落問題研究所で進められた『水平運動史の研究』全6巻では、馬原鉄男らとともに研究のリーダーシップをとり、水平社内の共産主義者を中心に描く水平運動史像を確立した。70年代半ばに日本共産党から「国民的融合論」が提唱されると、いちはやくそれに呼応し、共産主義者と必ずしも敵対的でなかった他の潮流にも目を向け、新たな研究の方向性を示し始めた。
また歴史研究者としては、近代日本社会の諸問題を社会史的手法で分析する事、あるいは近代日本の社会の成立と発展を歴史的に分析する事などをテーマに研究を行う。その研究成果は、学界で「鈴木良は戦後歴史学の最後の人である」と称されたほどである。
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[編集] 経歴
[編集] 研究テーマ
[編集] 所属学会
- 日本史研究会
- 歴史学研究会
- 歴史科学協議会
[編集] 人物評
- フランスの社会史家であるマルク・ブロックの『歴史のための弁明』を愛読し、社会史研究の方法論を学んだ。
[編集] 著書
- 『奈良県同和事業史』.奈良県.1970年.
- 『奈良県水平運動史』.部落問題研究所.1972年.
- 『近代日本部落問題研究序説』.兵庫部落問題研究所.1985年.
- 『奈良県の百年』.山川出版.1985年.
- 『城と川のある町-大和郡山歴史散歩-』.奈良県.1985年.
- 『教科書の中の部落問題』.部落問題研究所.1989年.
- 『西園寺公望傅』.岩波書店.1991年.
- 『歴史の楽しさ-地域を歩く-』.部落問題研究所.1999年.