錬丹術
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錬丹術(煉丹術、れんたんじゅつ)は、中国の道士の術の一つ。辰砂などから抽出した硫化水銀(丹)を原料とし、服用すると不老不死の仙人になれ、金も作れる霊薬(仙丹)をつくる。
卑金属を貴金属に変える力を持つ不老長寿の霊薬「エリクサー(賢者の石)」の製造などを目的にする西洋の錬金術とは共通する部分も多いが、西洋の錬金術がどちらかというと金を作ることを主目的としていたのに対し、錬丹術は不老長寿が主目的であることが異なっている。
水銀の使用によって少なくとも6人の唐の皇帝が水銀中毒で死亡しているといわれている。辰砂は鮮やかな赤褐色を示すため、その色が血液につながるという思想があったものと思われる。不老不死を望んでいた秦の始皇帝もそれによって死期を早めたという説もある。このため、南宋の時代に水銀を直接使用して化学的に仙丹を作る方法を外丹と呼びこれをやめて、人体の気血を原料に呼吸をふいごとし丹田を炉とみなして仙丹を練る内丹術という修行法がつくられた。