鍋島直紹

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鍋島直紹（なべしまなおつぐ、1912年 5月19日 – 1981年 11月16日）は、昭和期の政治家。元佐賀県知事・科学技術庁長官。肥前鹿島藩の第15代当主でもあり、地元では親しみを込めて”トンさん”（=殿様）と呼ばれた。

[編集] 来歴・人物

現在の佐賀県鹿島市に、内務政務次官を務めた従三位子爵・鍋島直縄の長男として生まれる。学習院中等科・高等科を経て、1936年九州帝国大学農学部を卒業、農林省嘱託となる。1944年同省を退職し、「鍋島農園」の経営に当たる。戦後は直ちに爵位（子爵）を返上した（爵位返上第1号という）。

佐賀県教育委員、同県森林組合連合会会長、鹿島町農協組合長を歴任し、1951年佐賀県知事に当選する。しかし就任後は朝鮮戦争特需後の景気後退に加え、1953年に起きた大水害が追い打ちを掛け県財政が破綻状態に陥り、対応に苦慮した。2期目の1956年に財政再建団体に指定される。財政再建計画に基づく教職員の削減を巡り、佐賀県教職員組合との激しい抗争劇が展開され、のちに石川達三の小説『人間の壁』の題材となった。

1959年、第5回参議院議員通常選挙に自由民主党から佐賀選挙区にて立候補し当選する。以後当選4回。三木武夫派に所属した。大蔵政務次官等を経て、1967年第2次佐藤内閣第1次改造内閣で科学技術庁長官として入閣する。

議員活動の中で特筆すべきは、参議院議会運営委員長を通算4期も務めていることで、いかに議会運営の手腕について信頼が置かれていたかを物語る。1971年には新谷寅三郎・迫水久常らとともに反重宗雄三グループ「桜会」のメンバーとして、河野謙三の参院議長当選に貢献した。その後は参院予算委員長、参院自民党幹事長などを歴任する。

1981年11月16日、脳梗塞のため逝去。享年69。次期参院議長の声も聞かれ始めた矢先であった。没後の叙位叙勲は、鍋島の遺志によって見送られた。

地元の有田焼をはじめ、陶磁器に造詣が深いことでも知られた。