魔弾の射手 (漫画)
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『魔弾の射手』(まだんのしゃしゅ)は、青池保子の漫画作品『エロイカより愛をこめて』の外伝的作品。NATO情報部に勤務するエーベルバッハ少佐の活躍を描く。
日本の作家が諜報戦を描いた同じカテゴリーの作品類の中では、その内容はきわめて洗練され、欺瞞や裏切りに満ち味方さえ誰も信用できない非情な諜報世界を巧みに描き、そのリアルな作風はジョン・ル・カレやフリーマントルの作品に迫る風格を備えている。少女マンガではあるが、恋愛の要素が一切無く、打算や保身、国家利益の入り交じった中年以降の男たちの非情な騙しあいの世界をシビアに描く。
[編集] 内容
KGBの大物エージェントが西側への亡命を打診してきたため、エーベルバッハ少佐にその大物エージェントと接触して真意を探り、本意であれば支援せよとの命令が出された事が発端となって、次々と事件が起きる。その大物エージェントは実は西側世界のスパイで、西側から送り込まれた逆スパイが監察部門に見つかり次々と抹殺される事件が続いたため、身の危険を感じ、西側への亡命を望んでいた。
大物エージェントは西側への亡命条件として配下の逆スパイの保護を要求し、エーベルバッハ少佐はその一人(コードネーム・ボリス)を護衛する任務を与えられる。一方、監察の指令を受け逆スパイを排除している連続殺人犯は“魔弾の射手”とあだ名される、KGBでも腕利きの殺し屋であった。彼は殺人そのものを楽しむ性癖があり、偽情報を流して標的となった逆スパイを苦しめるなど神経戦も行う。
エーベルバッハ少佐は、誰も信用せず猜疑心に満ちた逆スパイと接触し、彼を“魔弾の射手”から保護し、且つKGBの大物エージェントの亡命をも成功させるという困難な任務をこなさなければならなくなった。
秋田書店からB5版ハードカバーで出版されているほか、秋田文庫にも収録されている。
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