鯨塚
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鯨塚(くじらづか)とは、漁村において岸に打ち上げられた鯨をまつった塚のことである。
全国の沿岸部各地に存在すると思われるが、愛媛県西予市明浜町の例は次のとおり。
- 西予市明浜町地域(旧・明浜町)には3つの鯨塚があるが、最もよく知られているのは、高山地区の鯨塚である。市明浜総合支所のある高山集落と大早津海岸の間の海に面した国道の道端にある。ここは古くは丸石綱代と呼ばれた。
- いわれは、1837年(天保8年)の6月21日(旧暦、7月23日)、大きな鯨がこの海岸に打ち上げられた。この年は天保の(大)飢饉と呼ばれる大飢饉に見舞われ、苦しんでいたが、この鯨のおかげで、村民はどうにか餓死せずに済んだ。これに感謝して、村人たちは鯨様と奉った。鱗王院殿法界全果大居士の戒名がおくられ、手厚くまつられた。墓碑の銘を揮毫したのは宇和島藩藩主・伊達宗紀公である。院殿大居士の戒名は当時の殿様級であり、全国的にも大変珍しいとされる。
- 町指定有形民俗文化財。