黒い蠍
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黒い蠍(くろいさそり,原題The Black Scorpion)は、1957年、アメリカのアメックス・プロが製作したモンスター映画。
[編集] ストーリー
メキシコの僻地が何か得体の知れないものに襲われ、村が壊滅した。現場に残る、原型もなくひしゃげた自動車。上からそれほどの重量を掛けた相手とは?同地に隆起した新火山の研究に来ていた地質学者ハンク(リチャード・デニング)は、地下から現れた異形の巨体を認める。
[編集] オブライエンの最高傑作
「キング・コング」(1933年)のウィリス・オブライエンが晩年に手掛けた巨大怪獣映画。先に、後輩レイ・ハリーハウゼンが「原子怪獣現わる」(1953年)で、SFX費捻出のため実写背景の合成を多用した「スクリーン・リア・プロジェクション」方式を開発、成功させたが、その弊害としてモデル・アニメーション=低予算作品という誤認が映画界に生じてしまった。オブライエンも予期しない逆境の中で、本作の製作は進行。結果、予算を捻出するため、一部のライブ撮影とともに、アニメーションエフェクトは人件費の安いメキシコで行われた。特技スタッフには、「海底二万哩」(1954年)のラルフ・ハメラスも無償で参加した。というのも、ハメラスも当時、「巨大なる爪」(1957年)撮影のために、同じく経費節減の目的でメキシコで仕事をしていたからである。
だが、1番の主力となって活躍したのは「キング・コング」の撮影にも参加し、以降「猿人ジョー・ヤング」(1949年)からオブライエンの片腕となって多大な業績を示す弟子ピート・ピーターソンであった。地底空洞内での、タイトルロールとなる巨大サソリや無数の中型サソリ、そしてハサミを持つ尺取虫やカニグモなどの、目を見張るような動きは彼の仕事によるもの。
[編集] スタッフ
- 製作-フランク・メルフォード・ジャック・ダイツ
- 監督-エドワード・ルドウィッグ
- 脚本-デヴィッド・ダンカン、ロバート・ブリーズ
- 撮影-ライオネル・リンドン
- 音楽-ポール・ソウテル
- 特撮-ウィリス・H・オブライエン、ピート・ピーターソン
- 出演-リチャード・デニング、マラ・コーディ、カルロス・リヴァス
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