黒部五郎岳
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黒部五郎岳(くろべごろうだけ)は、飛騨山脈中の2,840mの山である。中ノ俣岳(なかのまただけ)ともいう。黒部五郎岳は富山県側、中ノ俣岳は岐阜県側の古来からの名称。日本百名山の一つ。
立山連峰が巨大な薬師岳より南下して、太郎兵衛平から北ノ俣岳を経て続くなだらかなで広々とした稜線の先に、巨大な圏谷を抱く特異な山容を見せるのが、この山である。圏谷が、その山体に対して余りに巨大なため、巨大なスコップでえぐられたようにも見えるし、また火山が噴火によって自らの山体を崩壊させたのかとも思えるような、巨大なU字谷を両腕の如き2本の山稜が抱えるような姿をしている。
その巨大な凹地は、東方の三俣蓮華岳の方を向いているが、その山容を最も特徴的で、なおかつ美しく見せるのは、黒部川源流を隔てた雲ノ平から眺めた時である。
その圏谷底に立つと、荘厳な雰囲気すら感じられる。自然の造形の妙を如何なく発揮した山である。また、圏谷底に立つ赤い三角屋根の黒部五郎小舎も、この優美な山の風景に溶け込んでおり、その景観に一点のアクセントを添えている。
飛騨高山付近から見える山体は笠の形で、笠ヶ岳と並んで笠形が2つ望める。このため、黒部五郎岳しか見えない場合、よく笠ヶ岳と間違われる。国道41号を北上し高山市一之宮町付近で、行く手の山の間から最初に顔を出す飛騨山脈の山はこの黒部五郎岳である。
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[編集] 名前の由来
野口五郎岳の項にも説明されているが、この一見人名の如き山名も、興味を惹き付けられる点である。ただ、もちろん、人名ではなく、山の用語であるゴーロ、大きな岩がゴロゴロした場所が山名の語源である。それに五郎という当て字をあてているのである。また、苗字の如き黒部や野口も、村名が由来であるという。黒部村の五郎岳と、野口村の五郎岳という言い方で、比較的近接している二つの山を区別したものである。
[編集] 登山ルート
三俣蓮華方面からの登山路は、南稜を登るルートと、圏谷底を詰めて、山頂の直下から壁面を登るルートの二通りがある。後者は、雪渓やお花畑を見ながら登ることができ、最後の登りも危険がなく、変化に富んだルートとなっている。
西側からは、飛越トンネル付近の登山口から飛越新道を登り、寺地山、北ノ俣岳、赤木岳を経て黒部五郎岳に至る。
富山県からは折立から入山し、太郎平小屋、太郎山、北ノ俣岳に登り、飛越新道からの道とに合流する。
[編集] 山小屋
- 黒部五郎小舎